小説
□やっちまった企画第2弾!?続・ヒバツナキセキ!!!
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「それで、緑間くんは遊びに来たの?」
箱の中身をすべて冷蔵庫にしまってから、リビングに落ち着くと、綱吉が最初の質問に戻った。
夏休みに入って、まだ一週間ほどだ。
黄瀬は、学校が休みなら働きなさい、という大山マネージャーに、いやというほど仕事を組まれていて、部活と家と仕事場の3ヶ所を駆けずり回っている。
恭弥も似たような状態なので、綱吉とテツヤはふたりで宿題を片付けたり、きょうのように家を行き来したりで過ごしている。
「まるで団地妻みたいですね」
さらりととんでもないことを口にするテツヤに、綱吉も同意しかけたほどだ。
「昼下がりは、すごいらしいです」
という話は、理解できなかったが。
「じつは、ツナくんはボクの浮気現場に入り込んだんです」
「え!?」
「黒子、おまえは冗談が苦手と言っていたように思うのだが」
額に指を押しつけるようにして、緑間が言った。
「苦手ですよ、冗談は」
「では、いまの説明はなんなのだよ」
「……【嘘】ですね。冗談ではありません」
「テツくん、さすがにいまのはダメだとおもうなあ」
綱吉にまで言われて、テツヤも頭をかいた。
「本当のことを言えば、この夏休み中緑間くんがここに住む、ということです。」
「え、そうなの?」
緑間に目をむけると、当事者ではないかのように、ゆったりと頷かれる。
「父の仕事の都合で、ひと月ほど海外で暮らすことになったのだよ。部活動があるので独りで家に残ると言ったところ、どういうつながりかはわからないが、黄瀬が一人暮らしをしていると、事務所に聞いたらしい」
緑間の父親は、べつに芸能関係の仕事ではないらしい。
「その上、母が黄瀬の母親と知り合いだったと言い出して、いまに至るのだよ」
「狭いね、世間」
「まあ、同じ中学に通っていたんですから、知り合いでも不思議はないと思いますが」
偶然の重なりに感心していた綱吉に、テツヤが、冷静な発言をする。
だが、相手は綱吉というより、感心されてまんざらでもない顔をしていた緑間のようだった。