進撃夢(完)

□行方
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◆◆◆

トロスト区奪還作戦により巨人化できる新兵、エレン・イェーガーが波紋を呼び、監視下のもと調査兵団に入団が決まった。
少しずつ平常を取り戻しつつある頃、奪還作戦を生き残った新兵の中に、ある噂が広がっていた。

◆◆◆

「武装もなしに巨人がいる街中を駆け回って、兵士を引っぱたいてた人がいるらしいんです」
それはエレンがリヴァイ班に配属され、夕食を摂っていた時のことだ。その日、エレンは同期に遭遇し、ちょっとした世間話をした。噂話とジャンの話の内容を思い出し、話題のつもりで口にしたのだ。
「それは、一体どういう状況だ?」
誰もが抱いているであろう疑問を、エルドが口にした。
「ありえねぇだろ。いたとしても、そのバカはとうに巨人の腹の中だ」
「兵長の真似をしてるつもりなら今すぐ死んでくれる?」
続いてオルオとペトラが話に入る。
「にわかには信じがたいが…」
グンタの声に、エレンは話を続ける。
「俺も詳しく知っているわけではないんですが、その人は巨人がいる方向から現れて、いくつか支持を出して走り去って行ったって」
「残念だが、それは嘘だろうな」とエルドが困ったように笑い、エレンが「本当です!」と声を荒げる。
「同期が助けられたって言ってました!それに、ミカサも市民を連れた武器不具合の兵士が非難門にやって来たのを何人か見たって。きっとその人たちも…」
「そんな話」
「詳しく聞かせてくれないか、エレン」
現れたのは、調査兵団団長のエルヴィン・スミスとリヴァイ兵士長だった。敬礼をしようと立ち上がったリヴァイ班に「そのままでいいよ」と右手をあげ、席につく。
「ところでエレン。今の話は本当かな?」
「本当です!」
エレンがはっきりと口にすると、エルヴィンはゆっくりと口を開いた。
「耳には入っていたから気にはなっていたんだ。その同期の名前を教えてくれないか?」
信じてもらえたのが嬉しかったのか、エレンの瞳が輝いた。
「はい!ジャン・キルシュタインです。馬面なんで、見れば一発でわかると思います」
「ジャン・キルシュタイン。調査兵団だね。ありがとう、明日話を聞くとしよう」




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