短編:進撃

□ある日の午後
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ある日の午後。
エルヴィンの執務室でアルミンが仕事の手伝いをしていた。
「団長、まだ仕事が…」
「息抜きをしないと、逆に効率が悪くなるからね。少しだけ」
そこにハンジが現れ、リヴァイを探したエレンがやってきた。
「あの、ハンジさんこれは…」
「リヴァイもここにくるよ!大丈夫大丈夫」
新兵二人をよそに、二人は楽しそうにお茶会の準備を始める。
ニコニコと笑っているこの上官に、どれだけの部下が悲鳴を上げてきたんだろう、とアルミンはげんなりしながら席に着こうとすると、セッティングの終わったエルヴィンとハンジが向かい合わせにソファに座った。
ピシッと一瞬思考が固まったが、アルミンは安全な席の確保をしなければとハンジの隣に座ろうと歩き出す。しかし一歩遅く、エレンがハンジの横に座ってしまった。
「どうしたんだい、アルミン?」
エルヴィンの笑顔が怖かった。
「いいえ、なんでもありません」
エルヴィンの隣に腰を下ろし、後日問い詰められたときになんて言い訳をしようかとアルミンは考えを巡らせる。
エルヴィンとハンジが仕事の話をしているので、「頂きます」と新兵組みが紅茶を口に運んでいると、「ところでさ」と急にハンジが声を上げた。
「エルヴィンとアルミンて、結局どうなったの!?」
ぶっと紅茶を噴き出しそうになりむせているアルミンをよそに、エルヴィンは「どうもこうも」と満面の笑顔を浮かべている。
「毎晩、私の部屋に来てもらっているよ」
その言葉にみるみる顔を赤くするアルミンとハンジ。「そんなの普通だろ」と疑問を浮かべているエレンは、含まれた意味合いを上手く汲み取れなかったようだ。
「なにそれ!!どういうこと!!知りたい、すっごく知りたいいい!」
興奮し始めたハンジの大きい声に、「誤解を招くような言い方は止めてください!」というアルミンの叫びはかき消されてしまった。
「違うんだよエレン、僕たちは、もう分隊長少し静かにしてください!」
「ああ、ごめんね、ちょっと興奮しすぎちゃった」
はぁはぁと息が荒いハンジは言葉通り少し静かになった。
「おや、事実だろう?」
「事実ですが」
「事実なんだ!!」
「分隊長!事実ですが、自分は書類整理の手伝いや思考能力向上の為に団長の部屋に行っているんです」
「おやおや、団長だなんてつれないね」
耳元に唇を近付け「名前で呼んでくれないのかい?」とエルヴィンが囁くと、アルミンの顔が真っ赤になり、ハンジの息遣いが更に荒くなる。
「結局、まだくっついてないの!?」
確信に迫る言葉をハンジが口にすると、エルヴィンが「恥ずかしがり屋でね」と肩をすくめる。アルミンの真っ赤になった顔を見ていたエレンが笑顔になり「いいな、アルミン」と口にする。




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