企画

□ハロウィンと悪戯
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◇◇◇

「アルミン、ハロウィンて知ってるか?」
旧本部から兵長と一緒にやってきたエレンは、資料室にいた僕を見つけるなり挨拶もそこそこにそんな話を振ってきた。
読んでいた資料から顔を上げエレンを見れば、きらきらとした瞳で僕を見ている。これは、なにやら不穏な空気だ。
「昔本で読んだことがある。壁ができるよりももっと昔の行事だよ。秋の収穫の祝いとか、悪霊退散の宗教的な行事だった気がするけど、どちらかというと子供たちが仮装をして『お菓子をくれないと悪戯しちゃうぞ』って家を訪ねてたっていう話の方が知られてるかな。それで、ハロウィンがどうかしたの?」
首を傾げれば、エレンがにかーっと擬音が付きそうなほどの笑みを浮かべるので僕は小さく悲鳴を上げた。こんな表情をしているエレンと関わると十中八九面倒事に巻き込まれる。
「行こう!アルミン!」
「ちょっ!!エレン!?」
拒否権はないようで、エレンは僕の手を掴むと資料室から飛び出した。
こうして走っていると子供の頃に戻ったようだと少しだけ口元が綻んだが、きっとそれは現実逃避だったのだと思う。

◇◇◇
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