キン29/U
□Frutta diversa
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「なぁなぁ、スカー」
「…………なんだよ」
「お前って、イタリア人じゃん?」
ジェイドの馬鹿が話しかけてきた。
「…イタリア"超人"だよバカ」
俺は人間じゃねぇ、超人だっての!
ジェイドの奴、ハハハ!って誤魔化しやがった。笑って無かった事にするつもりなのか。
「でさぁ、スカーって いつも果物握り潰してるけど、『果物以外を食べると拒否反応起こして 体中の穴という穴から果汁が吹き出して死ぬ』って本当なのか?」
「………………………」
「ねぇねぇ、」
「………おいドイツ人、」
「俺はドイツ"超人"だぞ、間違えんなよ」
「お前も間違えてただろ!………その話、誰から聞いた?」
「え? ケビン」
「………」
……あのチューリップ仮面、後でコロス。俺の殺気を他所に、ジェイドはワクワクしながら俺を見ている。コイツ、マジでその話本気にしてるの?馬鹿なの?いや、馬鹿だけど。
「……んなわけねぇだろ」
「なーんだ、違うのか」
「……おい、」
「ケビンがあんな話するから、てっきり『スカーの体は果物で出来ている』とか予想してたのに…」
おい、なんでそんな悔しそうにしてんだよ。お前もグルなのか、ヘルメットかち割るぞ。
「俺だって普通に飯を食う」
「フルーツ・◎ラノーラ?」
「舐めとんのか」
やだもう、コイツと話してると腹が立って仕方がない。あーもう青筋たってるって、誰か見てくれ。
「話はそれだけか…」
「ならさぁ、」
「まだあんのか……」
「フルーツジュース以外に何か作ってくれよ」
「はぁ?」
何を言い出すかと思えば……。
「めんどくせぇ」
「えー、」
「大体、何処で作るんだよ」
「HFに調理室ぐらいあるだろ」
「適当だなオイ」
作ってよー!、ジェイドが俺の腕を掴んで前後に揺らし始めた。完全に駄々っ子じゃねぇか、本当めんどくせぇ。
「イ ヤ だ」
「なんで!」
「一々めんどくせぇもん」
「スカーが"もん"って……」
「本気でぶっ叩くぞ、そのヘルメット」
「作ってー!」
「うるせぇ、」
「…………」
すると、ジェイドは俯いて大人しくなった。やっと諦めたか。ハァ。俺が一息つくと、ジェイドは顔をあげた。
「分かった、スカーはフルーツジュース以外は作れないんだな」
「ハァ?」
「そうだろ!だから頑なに嫌だと言っていたんだろ?」
ゴメンな、俺が気遣えないばかりに……。
おい、何だその泣き真似は。おちょくってんのか。
「そうか、スカーは料理が出来ないのか……グスン」
「わーかったよ!作ってやりゃあ良いんだろ!」
「え、本当?」
「あぁ、作ってやるよ!ソーセージしか焼けないテメェの為にな !! 」
「え、何で分かったんだよ」
「嘘だろオイ !? 」
こうして、俺はジェイドに言いくるめられて コイツに料理を振る舞う事になった。
「お披露目は来週な!」
「お披露目ってなんだよ……」
「まぁまぁ……」
「?」
当日、ジェイドだけのはずが HF内の生徒や教師陣が調理室に集まって来やがった。
「お披露目ってこの事かよ !!! 」
してやられた。ジェイドめ、後で覚えとけ……。
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