北斗

□二人の日常
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高層ビルのようなマンション。最上階。
絵に描いたような名家の跡取り息子。
文武両道、エリート街道まっしぐら。
そんな彼を幼馴染みに持つ私は、お目付け役…世話係りとして
彼の元で住み込みで世話をしている。
彼の欠点は、高飛車で我が儘なとこだ。



「帰った」

リビングへ来たサウザーは、そう一言言ってソファーに崩れた。

「お帰りなさい」

水を一杯渡すと、ぐびぐびと喉を鳴らして飲み干す。

「今日もえらく疲れてるな」
「当たり前だ、ユダの奴が取引先で…」

ここで今日の会社での反省会が始まる。
乗っけから厳しい所をズケズケと、まるでマシンガンの如く放つ。
しかも的確に悪い部分を見つけ出していくのだから、文句のつけようがない。
そして最後には、

「ふん、まぁそのあとの取引はまあまあ悪くなかったな」

とフォローも忘れずに言う。
これは私じゃなく本人たちに言えばいいのに。

「シュウ、飯は食ってきたがデザートが食べたいと言っておいたが」
「はいはい、」

私は冷蔵庫から、冷やしておいたスウィーツを取り出した。

「今日はレアチーズケーキに挑戦してみたぞ」
「ふん、なかなかだな」

満足そうに口に運ぶサウザー。
顔がほころぶ様子に、心のなかでガッツポーズ。

世話係りというのは、身の回りの世話から掃除、洗濯、デザート作り…
様々な事を求められるようだ。
この仕事を始めてもう長い。お陰で専業主婦顔負けの手際のよさ…と思っている。

「風呂は沸いているから、それを食べたら入ってくれ」
「シュウは ? 」
「私は洗濯物を干さなければならない」
「ふーん…」

サウザーは、またケーキを食べる手を動かし始める。
洗濯終了の音を聞き、私は脱衣室へ急いだ。







「…あがったぞ」

タオルで髪をガシガシと拭くサウザーに、私はドライヤーを構えた。
場所は脱衣室。
腰と肩にタオル、そんな格好のサウザーは、鏡の前のイスに座る。
後ろに立った私はドライヤーの電源をつけ、乾かす。

「あー…」
「どうした、」
「気持ちー」

目を細めて口元を緩めるサウザー。

「ハハ、私はトリマーになった気分だ」

さしずめサウザーは…血統書付のブランド犬といったところか。

「俺は犬か…」

力無いツッコミをして、また声を伸ばす。
家に要るときだけは、彼は無防備になる。
私だけが彼のありのままを見れる。
なんだかそれは、とても良い気分だ。

「シュー… 明日の朝はパンじゃなくてご飯にしてくれー…」
「了解」

わしゃわしゃと毛先を乾かしながら、彼の朝食の献立をたてた。







+++++




サウザー:29

某財閥の次期総帥。跡取り息子。
子の居なかった現総帥に拾われた子。
「御師さん」と呼んで慕っている。
手腕はなかなか。若干鬼畜。
シュウとは幼馴染み。
長い間一緒にいた為熟年夫婦のよう。
シュウがいなきゃ何も出来ない(家事全般)


シュウ:31

サウザーのお目付け役。
元々手先が器用だが、拍車がかかった。
家事は得意だし結構好き。
基本、買い物以外は外出しない。
(目は見える設定です。)
たまに近くの公園で子供達の相手をする。
「たまに来るロン毛のおいちゃん」で有名。
サウザーが食事してる時に目の前で肘ついて見てるのが好き。






パソコン カタカタッ

「サウザー、休日くらい休みなさい。
 お前のことだから、仕事は大体片付いているのだろう ? 」
「あぁ」
「たまには買い物に行こう」

手を引くシュウに、嫌々ながらノートパソコンを閉めて立ち上がった。

「『書を閉じて町へ出よう』」
「なんだそれ」
「昔聞いたことある言葉。うろ覚えだがな」
「ふん」

鼻で返して、サウザーとシュウは玄関へ向かった。

「今日はアイス好きなの買っていいから」
「俺はガキか」
「じゃあ要らないのかい ? 」
「パ◎ムがいい」

お前はパ◎コで、半分くれよ。
ハハ、ちゃっかりしてるんだから。

「ほら、行くぞ。シュウ」









+++++


サウザー+シュウ は現パロになりやすい。
室内風景はご想像にお任せ!
#130908

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