北斗
□No title
1ページ/1ページ
俺の部屋。
ジャギと俺が囲むテーブルの周りには飲み散らかした酒瓶。
悪酔いした俺は意識を放り出すのを辛うじて止めてる。
ジャギは程ほどに飲んでいたから、まだ大丈夫そうだ。
「ジャァギィィイ… 俺の何処が駄目だったんだぁ…」
「知るかよ、俺ソイツじゃねぇし…」
発泡酒の缶を握り締めて嘆く俺に、ジャギはため息をついた。
今日は俺の失恋記念日。
付き合っていた期間は短いとはいえ、相性は中々だったと思う。
身体の相性だが。
「やっぱし、やっぱし… 俺の愛が重いってのは本当なのかなぁ」
何人もの相手から言われ続けてきた。
「お前の愛は重い」と。
「自分の物にしたかっただけなのによぉ… 皆酷い…」
「あぁ、あぁ… もう飲むなよ、明日に響くぞ ? 」
「明日は休みだぁああ」
ジャギの忠告を押しきり、缶の中身を煽る。
大きな声を出したら頭がグラリと回った。
なんだか心地よくなってきたなあ。
「アミバ、気ぃ落とすなよ」
「ん…」
「女なんて星の数程いるだろ」
下手な言葉で元気付けようとしてくれるジャギ。
なんやかんや言って、しっかり心配してくれるとこが好きだ。
ほら今も、手際よく空の瓶や缶を片付けている。
この世話焼きな性格。悪くない。
「じゃあよぉ、ジャギが慰めてくれよ…」
「はいはい、元気出せー」
投げやりに俺の髪をワシャワシャと撫でる。
目をつむって大人しく受ける。
「ジャギ…こーゆうんじゃなくて…」
「あぁ ? じゃあなんだよ」
聞き返してきたジャギを組強いた俺は、床に寝転がるジャギを見下ろした。
両手は頭の上で片手で括る、常識。
「…なんのマネだ、アミバ」
「俺が今まで付き合ってきたやつらみたいにしてやりたくて」
「飲みすぎだって言っただろ」
「今はマジだぞ」
眉間にふかーくシワを寄せたジャギは俺を睨む。
こーゆう冷たい感じも堪らない。
「俺はお前が好き好む女じゃねぇよ」
吐き捨てるように言う。
女じゃない、だから助かる。
ジャギの顔が安堵で塗られてる。
甘いなあ。
「ジャギ、いつ俺が"女に振られた"って言った ? 」
「…はぁ ? 」
勝ったのは俺。ジャギはぽかーんと口を開けた後、
気付いて逃げ出そうと身じろいだ。
だが、もう遅い。
俺とジャギとは身体の差があるから。
簡単には逃げられないだろう。ツカマエタ。
「まず、俺の物だっていう印がほしい。キスマークで良いだろ。
後歯形も付けとくな。残るのは今だけだから大丈夫だ。
首輪に、リング、ピアス、タトゥーなんかでもいいな。
どれでもお前の好きなのにしてもいいからな。
その後は俺とたっぷり愛し合おう。大丈夫、慣れれば痛みも快感に変わるさ…」
捲し立ててジャギの顔を覗き込むと、引き吊った顔で俺を見てた。
ふふん、と笑い返し、始まりのキスをした。
+++++
二股舌だったら、奉仕の時 気持ち良さそうだ。
ジャギ、頼むぞ。
勘弁してくれ。
#130905