北斗
□眠れぬ鳳凰
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コツン、コツン…ガチャ
部屋の前で一度止まり、ドアを開ける誰か。
真夜中。主の足音は普段から聞きなれた歩調であり、私は嫌でも目が覚める。
「シュウ、起きてるか… ? 」
「どうした、サウザー」
ベッド付近の明かりを付けてやると、
サウザーが近くに寄ってきたらしい。
昼間と様子が違うのは、夜だからなのか。
「怖い夢でも見たか」
「俺は怖い夢などでお前の元へなど行かぬわ」
可愛いげのない返しに、ではどうしたと聞いたら、
今晩は眠れないと言った。
「月の光が眩しくてな、俺の眠りの妨げをするのだ」
「はぁ、月の光がねぇ。聖帝様も随分ロマンチックだ」
ハハハ、と笑ってやると、サウザーから強めのチョップが降りかかる。
もちろん避けたが。
「お前の部屋ならあまり光が入らぬ、今夜はこっちで寝かせてもらうぞ」
「構わんが、大の男二人で寝るとは、寂しいなぁ」
「うるさい馬鹿者」
いきなり部屋にやって来て随分な態度だが、
これが南斗六聖拳の将星、聖帝サウザーなのだから
仕方のないことである。
聖帝様は我が儘なお方。
「なんか言ったか」
「いや、何も」
「 ? そうか」
流石に心を読むまでは出来るまい。
サウザーは私の布団に潜り込んできた。
ああ、狭くなる。
「お前の布団、こんなに狭かったか…」
「二人とも随分成長したからなぁ」
サウザーは昔から、眠れぬ夜は私の元へ来ていた。
私の目が見えていて、サウザーがまだ初々しい少年の頃から。
「あの頃の少年が、こんなになるとは…」
「こんな とはなんだ」
シュウに背を向ける。
幼かったサウザー少年は、様々な理由を立ててはシュウの元へ来て、
同じ布団で寝ていた。
シュウ自身も、少し年の離れた弟のように可愛がっていた。
その後も側近のように常に側に居たが、
それなりの歳になってからは サウザーも一人で寝るようになっていった。
嬉しいやら、少し寂しいやら。
「昔もこうやって寝たな」
「ああ、お前が眠れぬと言ってな…」
「そうだったか…」
フゥ…と息を吐いて眼を閉じるサウザー。
すると、後ろから腕が伸びてきた。
「…何をしている」
「昔のように寝ようかと思って」
「そんなものいらぬわ」
「いいじゃないか、懐かしいだろう」
いくら言っても聞き入れそうにないシュウに折れ、
サウザーは抱かれるまま意識を手放して眠りについた。
静かな寝息が腕の中から聞こえる。
「聖帝様もこう静かだと、やはり可愛いもんだ」
まだ純粋な少年だったサウザーを思い出し、
懐かしさに微笑み、シュウも眠りについた。
+++++
「シューウ!朝稽古しよー」
バターンッ
「シュ…」
「なんだクソガキ、朝から煩い…」
「サ、サウザー !! 何でお前がシュウと寝てるんだ」
「あ ? ………あぁ」
「なんだよその顔!そのやっちまったぜ顔!」
「おい、シュウ起きろ」
「んー……」
「シュウ!何でこんな奴と一緒に寝てんだよ!」
「こんな奴 !? お前らは俺を何だと思っておるのだ !! 」
「うるせぇ、性帝が!」
「なっ !! クソガキが――――」
その後、シュウが起きるまで数十分
サウザーとレイの口論は続くのだった――。
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シュサウ掴めない
シュウはちょっとの大きな音では起きないよ!