北斗

□眠れぬ鳳凰
1ページ/1ページ






コツン、コツン…ガチャ

部屋の前で一度止まり、ドアを開ける誰か。
真夜中。主の足音は普段から聞きなれた歩調であり、私は嫌でも目が覚める。

「シュウ、起きてるか… ? 」
「どうした、サウザー」

ベッド付近の明かりを付けてやると、
サウザーが近くに寄ってきたらしい。
昼間と様子が違うのは、夜だからなのか。

「怖い夢でも見たか」
「俺は怖い夢などでお前の元へなど行かぬわ」

可愛いげのない返しに、ではどうしたと聞いたら、
今晩は眠れないと言った。

「月の光が眩しくてな、俺の眠りの妨げをするのだ」
「はぁ、月の光がねぇ。聖帝様も随分ロマンチックだ」

ハハハ、と笑ってやると、サウザーから強めのチョップが降りかかる。
もちろん避けたが。

「お前の部屋ならあまり光が入らぬ、今夜はこっちで寝かせてもらうぞ」
「構わんが、大の男二人で寝るとは、寂しいなぁ」
「うるさい馬鹿者」

いきなり部屋にやって来て随分な態度だが、
これが南斗六聖拳の将星、聖帝サウザーなのだから
仕方のないことである。
聖帝様は我が儘なお方。

「なんか言ったか」
「いや、何も」
「 ? そうか」

流石に心を読むまでは出来るまい。
サウザーは私の布団に潜り込んできた。
ああ、狭くなる。

「お前の布団、こんなに狭かったか…」
「二人とも随分成長したからなぁ」

サウザーは昔から、眠れぬ夜は私の元へ来ていた。
私の目が見えていて、サウザーがまだ初々しい少年の頃から。

「あの頃の少年が、こんなになるとは…」
「こんな とはなんだ」

シュウに背を向ける。
幼かったサウザー少年は、様々な理由を立ててはシュウの元へ来て、
同じ布団で寝ていた。
シュウ自身も、少し年の離れた弟のように可愛がっていた。
その後も側近のように常に側に居たが、
それなりの歳になってからは サウザーも一人で寝るようになっていった。
嬉しいやら、少し寂しいやら。

「昔もこうやって寝たな」
「ああ、お前が眠れぬと言ってな…」
「そうだったか…」

フゥ…と息を吐いて眼を閉じるサウザー。
すると、後ろから腕が伸びてきた。

「…何をしている」
「昔のように寝ようかと思って」
「そんなものいらぬわ」
「いいじゃないか、懐かしいだろう」

いくら言っても聞き入れそうにないシュウに折れ、
サウザーは抱かれるまま意識を手放して眠りについた。
静かな寝息が腕の中から聞こえる。

「聖帝様もこう静かだと、やはり可愛いもんだ」

まだ純粋な少年だったサウザーを思い出し、
懐かしさに微笑み、シュウも眠りについた。




+++++



「シューウ!朝稽古しよー」

バターンッ

「シュ…」
「なんだクソガキ、朝から煩い…」
「サ、サウザー !! 何でお前がシュウと寝てるんだ」
「あ ? ………あぁ」
「なんだよその顔!そのやっちまったぜ顔!」
「おい、シュウ起きろ」
「んー……」
「シュウ!何でこんな奴と一緒に寝てんだよ!」
「こんな奴 !? お前らは俺を何だと思っておるのだ !! 」
「うるせぇ、性帝が!」
「なっ !! クソガキが――――」



その後、シュウが起きるまで数十分
サウザーとレイの口論は続くのだった――。










+++++


シュサウ掴めない
シュウはちょっとの大きな音では起きないよ!

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ