北斗

□依存兄弟
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核により崩壊したこの世界。
何とか助かった彼は『死の灰』を被った。
生を蝕むその灰は彼の命を全て食む事は出来なかったが
代わりに様々な希望を奪った。



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拳を極め、継承者を目指して修行をしてきた私は
世界を包んだ悲しい悲劇により
その道を閉ざされた。
その後医者として、病を患う民を救いながら
様々な村を渡り歩いていた。
自分自身『死の灰』を被った歴とした病人であったが
今ある命を救うことが我が使命であったため、
自らを省みる事はなかった。

そして。

『死の灰』の恐ろしさに絶望した。

身体を蝕み続けていた灰は、
私の両腕に食らいついたのだ。
日に日に動かなくなる腕。
私の元に集まる民は、自らの病より
私の腕を心配してくれた。
しかし、このまま留まるわけにはいかず、
私は動かない腕と共に荒野をさまよった。




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#130729
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