北斗
□南斗と納豆と。
1ページ/2ページ
7月10日。
その日は 朝から何処かワクワクを隠しきれてないユダの姿がありました。
その足取りも軽さは、いつ足を掛けられて転ばされてもおかしくないくらい。
そんなユダが外を歩いて居ると…。
「レイじゃないか」
向こうからやって来たのは 朝の稽古を終えたレイでした。
首にタオルをかけて歩いてくる姿にユダは心奪われます。
(……っは!またおれはレイに心を… !! )
「なんだユダ。ジロジロ見んなよ」
怪訝そうにこっちを見るレイに ユダはある質問をしました。
「おいレイよ。今日は何の日か分かるか ? 」
それはユダがワクワクしている原因でもありました。
それほど 今日は特別な日なのです。
「今日は、7月10日だよな…」
考えるレイ。フフン と口角を上げるユダ。
「しょうがない、この美しく優しいおれさまがヒントをやろう。
7月10日を語呂合わせするのだ !! 」
「…あぁ !! 」
閃いたレイは どうだと言わんばかりにユダに答えました。
「納豆の日だ !!! 」
それはもう自信満々に答えました。
それを見たユダは…。
「貴様はアホか !!! 」
突然怒鳴りました。どうやら怒っているようです。
「貴様はアホか !! 」
「なぜ俺がアホなのだ!2回も言うな!」
「今日は7月10日、南斗の日 だろうが」
少し頭を捻らせた後気付くレイ。
「確かに」
「確かに ではないわ !! あぁもう、貴様に聞いたおれが馬鹿だった !! 」
+++++
ぷりぷり怒ってるユダと 暇だから付いて行くレイの方に 今度はシュウが通りかかりました。
両手に大きな袋を持った彼は 買い物帰りのようです。
「やぁ、ユダにレイ。二人が一緒とは珍しいな」
「シュウよ、貴様は今日が何の日か分かるか ? 」
「どうしたんだい、いきなり」
「シュウ 答えてやってくれ。じゃないとユダがまた怒る」
「またって… さっきも怒ったのか ? 」
「違う!あれはレイがアホだからだ !!
そんなとこより、今日が何の日か だ」
「ははは、分かるよ。その為に 買い物に行ったんだから」
そう言うとシュウは 手に持っている袋を二人の前に突き出して見せた。
「今日は納豆の日なんだ。我が家で納豆パーティーでもするかい ? 」
袋の中を覗いてみると 見事に納豆のパックや大豆食品だらけ。
南斗のお父さんは料理が得意のようです。
「メインは納豆料理なんだが 大豆繋がりで豆腐料理や味噌汁も出るぞ」
「おぉ、豆臭いパーティーになりそうだな。アイリも連れて行って良いか」
不思議なパーティーに食いついたレイと 大豆食品を極めようとしているシュウを他所に
ユダは俯いて肩を震わせていました。
「どうした ユダよ。納豆は苦手か ? 」
下を向くユダの顔を覗き込むシュウに ユダは食って掛かりました。
「シュウ お前もか !! 」
「ブルータスみたいに言うなよ」
レイの冷静なツッコミ。
「今日は 南斗の日 だ !! 」
「納豆の日じゃなくて ? 」
「そうだ !! 全く、貴様らは 南斗六聖だろうが !!
みな納豆にうつつを抜かしやがって !! 」
そう言うとユダはドスドスと歩いて行きます。
「おーいユダ !! 今日の納豆パーティー来るかー ? 」
「行くわ !!! 」