北斗
□そばの星
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北斗七星は文字通り 七つの星で出来ている。
しかし、ある条件を満たした者にのみ 八つ目の星が見えるという。
その星の名は『死兆星』。
北斗七星に寄り添う死兆星。俺はその星に自分を重ねる時がある。
見える者にしか見えず
例え見えても その者をドン底に突き落とす。
同じ星なのに 側に居るのに、
見られ方も扱いも全く違う星。
俺もお前も 同じ除け者さ。
一緒に拳を奮いあった兄弟達は、俺を置いて高みへと登っていく。それは 末の弟も同じだった。
天性の才能。生まれ持った力。
そいつらが無ければ ごちゃごちゃしたものが無ければ、俺はお前よりも強いのに。お前をねじ伏せて 高みに登れるのに。
心の中に溜まり 少しずつ溢れ出たドロドロは、弟への意味のない暴力へと変わっていった。こんなことをしても変わらない。現状は 俺が劣ったまま。しかし、こうでもしないと 自分自身が負の塊になってしまいそうだった。
少しずつ離れていく才能の差。俺は必死に 側でしがみつくしかなかった。
暗い夜の空を見上げれば、普段 俺を嘲笑うように瞬く北斗七星の横に 八つ目の星が申し訳程度に光っていた。
「なんだよ そのチンケな光は」
「てめーも俺と同じなら もっと暴れるように光ってみろってんだ」
そのときに呟いた俺の言葉は あの星に届いていたのだろうか。
#jagi