短編

□詐欺師のお姉さま 1
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「まーくんジュースー」


俺はソファーから立ち上がり、食器棚からグラスを二つ取り出す。そのまま冷蔵庫からペットボトルのサイダーを取り出し、グラスに注いだ。同じようにもう一つのグラスにも注ぎ、ペットボトルを冷蔵庫に戻す。両手にグラスを持ち、先ほどまで座っていたソファーへと戻る。そして目の前のテーブルにグラスを一つ置いた。


「まーくんリモコーン」


今度はテーブルの端にあるテレビのリモコンを、前のめりになりながら手を伸ばし取る。中身が半分になったグラスの横に置いた。


「まーくんお菓子ー」


俺はもう一度ソファーから立ち上がる。キッチンの下にある戸棚を開けて中を覗き込む。その中からチョコのポッキーとゆずこしょう味のポテトチップスを取り出してソファーに戻る。リモコンの横に、封を開けて置いた。


「まーくん誰か来たー」


俺はまたまたソファーから立ち上がる。どうやら届け物らしい。玄関の扉を開け、荷物の確認後、ペンを渡されサインをする。小さいわりにやけに重たい箱を受け取り、扉を閉めた。受取先の名前を見ると、今ソファーで寛いる人物の名前。箱を片手にまた、ソファーに戻る。


「姉貴、届け物」


テレビを見ながらお菓子を食べていた目の前の人物は、肩の下の方で一つに束ねてある銀色の髪を揺らしながら振り返った。俺の姉である。


「やーっと届いたんか」


俺が差し出した箱を受け取る。


「やけに重いが中身はなんじゃ?」

「当ててみんしゃい」


そう言って顔に笑みを浮かべた。分からんから聞いたんじゃ、と心の中で呟いてみる。しかしそんな俺の考えもお見通しなのか、更に笑みが深くなる。


「まぁ、楽しみにしとくんじゃな」

「……また俺に何か仕掛けるつもりなんか」

「仕掛けて欲しいんか?」

「んな訳なかろ」

「そうか」

「……」

「……」

「…覚えときんしゃい」


そのまま姉貴を睨みつける。この姉はいつも、俺に何かしら仕掛けてくる。俺の予想の遥か上を行くような事を、平気でやってのけるのだ。そして毎回それに嵌まる俺…。それを後ろで笑いながら見ている姉貴…。


「近い内に何か仕掛けると分かっとるんじゃ。今度はそう簡単にはいかんぜよ」

「ふーん」


俺の言葉にニヤリと笑う姉貴。


「私の言う事を従順に、何の疑問もなく、条件反射で言われた通り動いちゃってる事に、自分ですら気付いてないまーくんじゃからのぉ」

「あ」

「本当に今更気付いたんか、まーくん」






お姉さまの言う事は絶対です!
(まーくんジュースおかわりー)(はいはい)((我が弟ながら馬鹿じゃ))










姉の言う事に何の疑問も持たない仁王\(^O^)/
(2013/06/26〜2014/02/05 Clapにて)

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