短編

□ずっと想われてました。
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今時、罰ゲームで告白とか有り!? いやいや、なんで好きでもないのに告白して、振られてこなきゃいけないのよ。精神的ダメージデカいんですけど。だから罰ゲームなんだろうけどさ、流石に酷くない? テストの合計点が一番低かった人って、1位と12点しか違わなかったのに。しかも手紙で呼び出すとかどんだけ? 話したいことがあります。放課後に体育館裏まで来てください。って古くない? 絶対に相手も告白って気づいてるよ。手紙を見つけた瞬間に気づいてるよ。もうやだ。帰りたい。このまま帰ろうかな。でも友達は近くで見てるって言ってたからなー。……向こうはもう来てるかな? あっでも、もしかしたら来てないっていう可能性もあるよね!? うんうん、部活も絶対に大変だろうし、告白なんて慣れてるだろうから一々対応してられないだろうし。きっと来てない!




…うわー普通にいますよ。そうですよねーだって優しくて良い人って有名だもんね。そんな人が呼び出しに応じないはずがないんだ。付近を見渡したり、携帯を確認したりしてる。絶対に私を待ってるよね。ていうか早く部活に行きたそうに見えるんだけど! これはさっさと出て行って、告白して振られて、部活に行かせてあげた方が良いよね? だからなんで私が降られに行かなきゃいけないんだよ! ……罰ゲームだからか…。手紙に名前も書いちゃったから、呼び出しておいて行かないなんて、余計に気まずいよね。よーし、女なら当たって砕けろだ!




わー近くで見るとすっごい綺麗。運動部なのに肌も白いし、聞く所によると頭も良いらしい。それでいて優しくて、男女共に好かれてるんだから、本当に完璧だよね。しかしこんな綺麗で完璧な人に今から告白するのか…。こんだけ凄い人なんだから、私なんて到底敵わない綺麗な人とか、可愛い人に告白されてるだろうし、私だけ凄く場違いに感じるんだが。あー帰りたい帰りたい。もう絶対に罰有りのゲームなんてやらない! 金輪際やらないんだから! ……とりあえず先に、この状況をどうにかしなくちゃ…。私が話し出すのを待ってくれてるけど、きっと心の中では早く部活に行きたいはずだ。早くしろよって思ってるかもしれい。どうせ振られるんだから、さっさと振られてやる!




「幸村くん、好きです。私と付き合って下さい」




よし! 言ってやったよ! 友達見てるか!? これで振られて、友達に数日間馬鹿にされた挙句、笑われて過ごすのか…。それでも早くこんな状況から逃げ出せるのなら何でもいい。あーあ答えは分かってるけど、この沈黙嫌だな。でもあのイケメン集団の筆頭、幸村くんだよ? テニス部の部長として部員を引っ張っているあの幸村くんだよ? 目の前にいるだけでも感謝しなくちゃ。いや嘘の告白なんだけどね。私イケメンとか興味ないんだけどね。でも答えを貰わなきゃ!さぁ幸村くん、一思いに振ってください!



「俺もずっと相瀬さんの事が好きだったんだ! まさか君の方から告白してくれるなんて夢みたいだよ! 諦めないで想い続けてて良かった」


「…え?」


「こ、これって今日から彼氏と彼女って事で、良いんだよね?」


「え、あの…」


「…相瀬さん、この後、何か用事ってある?」


「いや、ない、けど…」


「それなら少しだけ待っててくれないかな? 今日テニス部はミーティングだけなんだ。も、もし良かったら帰り、どこかに寄って行かないかい…?」


「…はぁ…」


「本当!? ありがとう、終わったら直ぐに行くから! あ、寒いし、風邪引いちゃうといけないから、ちゃんと教室で待ってるんだよ」


「…いや、あの…」


「それじゃあ後でね、相瀬さ、……結衣」






そう言って頬を染めながらとても綺麗な笑顔を見せ、部室に向かう幸村くん。







「どうしてこうなった?」






つまりは、
幸村くんにずっと想われてました。
 








ヘタレ幸村\(^O^)/
(2013/06/28)
 

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