第 2 章

□2-09 案内状
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ある日、家に帰ると1枚のハガキが届いていた
それはTomsのショップから送られてきたもので
裏を反すと、ファッションショーの案内が書かれていた

美桜「わ!ショーで新作発表するんだ!!」
私がTomsファンになってからは、初めてなんじゃないかな
まぁ、少なくとも案内状が貰えるほど通ってからは・・・
って言うべきなのかもしれないけど

美桜(ふーん、店を借りきってやるんだ・・・)
会場になっている場所は、お洒落な居酒屋系だったハズ
確かあそこは板張りの床で、雰囲気もイイと聞いた気がする
クニから「今度行こう」って言われてた店じゃなかったっけ?

玄関で靴を脱ぎながらハガキを見ていると
いきなり、後ろからガシッと頭を鷲掴みにされた
美桜(!?)
ビクッとしながら、何とか視線だけを後ろに向ける

高野「・・・後ろがつかえてるんだけど?」
美桜「ごめん・・・」
・・・そうだった、クニも居たんだった
一瞬、ほんと一瞬だけど、存在が頭から飛んでたよ

今日は久しぶりにクニと夕食を食べ
そのままウチに来るって言うから、一緒に帰ってきたんだよね

高野「美桜・・・
   今、完っ全に俺の存在を忘れただろ?」
私の持っていたハガキを後ろから覗き込み
やっぱりかと言わんばかりに、呆れかえったような溜息をつく

美桜「は・・・ははっ、まさかでしょー?」
と、ここは恍けておこう
高野「・・・棒読みかよ」
クニはクニで慣れてる(?)から、これ以上は追及してこない

そのまま後ろから押し出されるようにして部屋へ入ると
クニがソファーに深く身を沈めた
疲れてそうだなぁ・・・
表面には出さないけど、ショーの準備なんかもあるんだろうなぁ

美桜「コーヒーで良い?」
バッグを置いてキッチンへ向かいながら声をかける
高野「あぁ、頼む」

あれ?クニがいつの間にかショーの案内状を見てる
うわぁ目が真剣!
・・・あれは完全に仕事の顔だ
けど会社で発送前のハガキ、確認してるはずだよねぇ?

高野「なぁ美桜・・・」
美桜「ん?なに?」
向こうに視線を送りながら、ドリップの準備をする
今日はクニも居るし、インスタントの気分じゃないんだよね

高野「このショー、来るのか?」
美桜「う〜ん、行きたいなぁとは思ってるけど?」
珍しく平日の夜に行われるみたいだから、そこがちょっと悩むところ
あ、でも定時ピッタリで会社を出たら間に合う・・・かな?

高野「来るんだったら、先に店で申し込めよ?」
あぁ、確かハガキにそう書いてあったような・・・
ショーはチケット制だから、先にTomsショップでチケット買うんだよね?

高野「最悪、当日券も用意されるとは思うけど・・・」
美桜「大丈夫!先にちゃんと買ってから行くって」
私にとってはショーなんて初めてだし、やっぱり見てみたい!
うん、よし、絶対に定時で上がって見に行くぞ!

美桜「ふふっ、新作どんなのかなぁ、楽しみだなぁ〜♪」
行くと決めたら、もうショーのことで頭がいっぱい
モデルさんが着て歩くんでしょ?
絶対、素敵に決まってるじゃない!
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