第 2 章

□2-04 出張
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・・・今日の俺は、出張に出ている
新しい和柄生地を織物工場に依頼していて、それの出来栄えを見るためだ
これも、デザイナーの仕事の一環だからな

いつもは生地担当のデザイナーに任せているが
今回は俺自身がデザインを起こしたというのもあって
やはり、自分で確認しておきたい


高野「・・・さすが、良い出来ですね」
サンプル生地の色合いや柄の出方を細かくチェックする
手触りも悪くない
この工場とは付き合いも長く
ほぼ要望通りの物を出してくれるから、助かっている

別件で頼んでる生地を、現在作業しているという事で
せっかく来たんだし、工場内を見学させてもらい
作業途中の生地を、写真に収めた

新作のサンプル生地の端布を受け取って、その工場を後にする
これを来週の新作会議にかけて、通さなければならない
いくら俺が総監督デザイナーだからって、全てがOKな訳じゃないからな

ひとまず工場で撮った生地の写真を、会社へメール添付で送ると
しばらくして携帯が鳴り出した

高野「はい、高野です・・・」
『菊地です』
菊地もウチのデザイナーで、主にTomsの小物を担当している
そして、数少ない女性デザイナーだ

高野「あぁキィか、どうした?」
菊地『どうした・・・って
   高野さん、添付忘れてますよ?』
高野「あ?そうだっけ?
   悪い、送りなおすから」
菊地『今度は先に添付してから、送ってくださいね』

はぁ・・・まるで俺の秘書だ
まぁでも、キィがしっかりやってくれるので助かっている

高野「さて・・・」
せっかく出張に出てるんだ、他も回るか・・・
この近辺の地域には他の馴染みの工場や店舗がある
アポは取ってないが、顔だけでも出しておきたい

−−−その後、回ったのは数件
会えなかった相手もいたが、やっぱり出向いて良かった!
新しい情報や刺激を貰う事ができたからな

子供のようにワクワクする気持ちで、俺は会社に戻った

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