短編


□ス○ロー
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『赤也、あたしね、』

「おう」


あたしは休み時間、隣の席の赤也と話していた。


『昨日家族でスシローに行ったの』

「へえー。いいなー、寿司」

『マグロとかいくらとかおいしかった!』

「おま、いくらってガキか。プッ…」

笑うな


いくらを侮辱するなんて許さないぞ!!


『でさー、あたし五皿でギブアップで』

「少な!!もっと食えよ!!」

『いや、運悪くその日は外出前にお菓子を食べててね』

「もったいねぇ…」


あたしも嫌々ギブアップしたからねぇ…。


『でさ、家族はまだ食べ続けてたからしょうがなく、スマホでゲームしてたのさ』

「うん」

『そしたら、小3くらいの男の子が通路を走り回ってて…』

「うんうん」

『うるさいし、お店でそんな走って欲しくないし迷惑この上なかったよ』

「へえー…。災難だったな」


ホントうるさかった。

黙れよ、ってガチで思った。


『その子の親はさ、いっぱいその子も加えて、子供連れてたの。幼稚園くらいの女の子もいて、その子と走り回っててさ…。きゃっきゃ、ギャーギャー、マジうるさい』

「親は注意しなかったのか?」

『うん。何も言わないの。全くどんな教育してんだか。つか、そのお父さん、店員にクレーム付けてんだよ!?』

「え、どんな!?」

『さあ…。なんか、かなり怒ってたけど…。スシローってクレームの付けどころなくない!?』

「…まあ…。よっぽどの事がない限りな…」


おいしい、新鮮、安い!

どこにクレーム付けるんだ!


「クレーム付ける前に自分の家の子供注意しろよなー」

『だよね!?子供にもムカついたけど親にもムカついた!親子揃ってうるさいんだよ!!』


ホント、日本の教育を見直してよ政府。


『まあ、横で子供が走り回ってるの見ても、みんな迷惑がってるだけで注意なんかしなかったけどね』

「だろうよ」

『うちの親は、うるさいな、とか言ってたけど、あたしはうるさいけど面倒だから真顔で黙ってゲームし続けてたよ。呆れてね』

そういうのがある意味一番怖いよな

『そう?』


だってもう、呆れてすぎて口開く気にもならなかったから。


『こんな出来事があってあたしは決めた』

「何を」

『クレーム付けるおっさんとは結婚しないし
子供の教育はしっかりすると誓ったよ』

「……ふーん」



ス○ロー


「(何に誓ったんだ?)」

『(マグロの寿司に)』

「(しょぼ!!)」
 

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