短編
□ものもらい
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『ねぇ、忍足』
「今度はなんや」
『あたし昨日の放課後見ちゃったんだよね…』
「は?何を?」
『忍足と跡部がキスしてるとこ』
「なんやそんな事かいな…って、なんやてぇぇぇ!?」
『2人がまさかこっち系だとは思わなかったよ。大丈夫だよ!あたしがそれ見た瞬間、忍足と跡部の大して高くない好感度が一気に下がったり、印象が変態から、末期に変わったり、ドン引きしたりはしてないから』
「いやいやいや!!何言うとるん!俺は跡部とキスなんかしとらんで!うわ、キショ!!」
『隠さなくてもいいよ。実は跡部にも昨日ものもらいがあって、それが移ったんでしょ』
「いや隠すも何もキスなんかしてへんて!!何を思って俺が跡部と唇を重ねなあかんねん!!昨日の放課後…?ってああ!!ちゃうで!!昨日のあれは…」
『何』
「あれは跡部に頭突きされたんや!!」
「頭突き?」
「せや!昨日俺が、山田先生の脚ばっかり見て部活に集中できんかった時、跡部に頭突きされたんや!!」
山田先生とは、超美人でスタイルがいい先生の事だ。
『やっぱ忍足って変態』
「なんでや!」
そりゃ跡部も頭突きするわ。
『なんだ、つまんないなー…。せっかく学園中を騒がすビッグニュースだと思ったのに。題名‘テニス部レギュラーの跡部と忍足、禁断の愛’!』
「キモッ」
忍足はその三文字で見事に断ち切った。
『しっかし…』
「なんや」
『あの変態忍足にものもらいって…ダサッ』
「しばくぞ」
『激ダサだな!ははっ』
「よし決めたで。お前にこのめばちこ移したる」
そして忍足はどんどん顔をあたしに近付けた。
『ぎゃああああああ!!ばい菌がよってくるぅぅぅぅ!!』
「それじゃ俺自体がばい菌みたいやんか!!」
『うぎゃああああ!!追ってくるぅぅ!!』
ものもらい
−次の日−
『(忍足のバカ野郎!!お前のせいであたしにもものもらいができちゃったじゃん!!)』
「(ははっ!激ダサやな!)」
『(キィー!!跡部に移してやる!!)』
「(とんだ迷惑やな)」