短編
□ものもらい
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「そんな目立つか?」
『んー…まあ、目が悪い人にはわからないだろうね』
「つまり、目立つっちゅー事やな」
『まあね』
忍足は鞄から手鏡を取り出し、覗いた。
『手鏡持ち歩くとかテメェは女子か!!』
「少なくともお前より女子力はあるやろな」
『な、ななななな何を!?あたしはそんな事言われても、どどどど動揺しないぞ!?』
「めちゃくちゃ動揺しとるがな。ああー…嫌やなー…めばちこ」
『めばちこ?』
「関西ではものもらいの事めばちこ言うんや」
『へー。目がチカチカするから?』
「知らん」
『まあ、あたしものもらいできた事ないからよくわからないけど』
「ええな。まだなんか」
『何その、いつか絶対できる的な発言。まあ、これでまた一つ賢くなったよ。関西ではめばちこって言うんだね』
「おお、覚えとき」
『あたしにとってなんのメリットもない事だけどね。覚えといてやるよ』
「ウザッ」
『しかし、せっかくのイケメンフェイスがその腫れ物によって台無しだね』
「そうなんや…ハア。1日憂鬱やな」
『まあ、忍足が憂鬱であろうがあらまいが、あたしには関係ないよ』
「とうとう名前にまで見捨てられた…!!」
『あたし最初から忍足の味方してないし』
「初めから見捨ててたんか!!酷っ!」
『初めから好感度も大して高くないからね』
「そんな告白いらん」
『第一印象は、何こいつ、絶対変態の人種だ、だよ』
「いい加減泣くで!!」
『ものもらいできてるし、あんま泣かない方がいいんじゃないの』
「ホンマいちいちムカつくな」
『ははっ』