短編
□グラウンド
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『あたしの好きな人は、立海大3年B組仁王雅治でぇぇす!!』
海に向かって叫ぶ。
『仁王は、テニス部レギュラーでとっっっっても格好いいです!!名前も忘れられてるだろうけど、あたしは仁王が大大大大好きでぇぇぇす!!』
そこまで言って、口を閉じる。
『ハアハアハア…い、言った…』
と、その時。
「ずいぶんと熱烈的な告白じゃのう」
それは、あまり間近に聞いた事はない、だけど聞きたい低音ボイス。
振り返ると、
『に、仁王!?』
な、なんでここに!?
っていうか、今なんて?
「ずいぶんと熱烈的な告白じゃのう」って言った?
ええぇぇ、聞かれてたぁぁぁぁ!?
『あ、ああああああ』
きっと今のあたしの顔は真っ赤何だろう。
『そ、そそその…なんでここに、』
「ん?いや、家に帰って、教室に携帯を忘れてのう。取りに来たら、お前さんがなんか叫びだした」
『ぅ…あ、ああぁ…』
何てことだ。
「名字、じゃろ?」
『え、な、なんであたしの名前…』
「忘れてはおらんじゃろ?この間財布を拾ってくれた、名字名前ちゃん」
『え…』
下の名前も?
だって、あたし確か名字しか教えてない…。
「参謀にいろいろ教えてもらったぜよ。名字名前、3年D組。得意科目は英語で苦手科目は数学。放課後の日課は…」
『…テニスをする仁王を見る事…です。あ、あの、仁王!』
「ん?」
あたしは、恥ずかしいがまっすぐ仁王を見た。
『あああたし、前からずっと仁王の事が好きでした…。良かったら、友達になってくださいっ…』
付き合って、とは言わない。
友達でいい、っていうか知り合い程度でいいんだ。
「………」
『あ、あの…』
やっぱりダメか…。
『やっp「友達でええんか」えっ』
「彼氏じゃなくてええんか?」
『は、え、』
それって…。
「あの日、名前を呼ばれてから、お前さんに興味がわいた。んで、暇さえあればお前さんの事を見とったんじゃが…新しい一面を見る度に…お前さんのこと、ちょっといいな、って思ってた」
嘘…。
「よく笑う所、元気な所、何にでも一生懸命な所、頼まれると断れない所……俺を好いてくれてる所」
仁王の手が、あたしの手を掴む。
『あ、あの、』
「全部…全部、俺の目に留まるんじゃ。今は、たぶんお前さんが思っとる以上に…結構本気ぜよ」
え、待って…。
この展開ってつまり…。