短編


□可愛い
2ページ/3ページ

「か、可愛い?俺が?」
『男のわりに背低いし、目デカいし、女顔だし、声抽象的だし…かわいすぎだよ!!』
「いや〜…男は可愛いより格好いい方が嬉しいっつか…」
『見なよこれ!』
「?」


あたしは手鏡をブン太と一緒に覗き込んだ。


『ブン太と一緒に並んだら女のあたしより、男のブン太のが可愛く見えるじゃん』
「…まあ、俺のが実際肌綺麗で、目デカくて、髪綺麗だしな」
『キィー!!ムカつくぅぅ!!』


調子にのりやがって!!


『眉毛全部剃ってやる…』
「はっ!!俺の美貌が眉毛くらいで崩れるとでも思ってんのか?」


それ、どこぞの坊ちゃんの台詞だし。


『ナルシ!!ナルシブン太のぶぁーか!!』


あたしはブン太のもとから走り出して、ある人のもとへ向かった。


『雅治ー!!』
「ん?」


自分の席で居眠りしている雅治に声をかける。


「どうしたんじゃ」
『あのね、あのね、ブン太があたしより俺のが可愛いって言うんだ!!そんなのわかってるけど、調子にのってあざ笑われたから、ちょっとショックっていうか…』


ガタッ


その瞬間、雅治は立ち上がりブン太のもとへ歩いていった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ