短編
□可愛い
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「か、可愛い?俺が?」
『男のわりに背低いし、目デカいし、女顔だし、声抽象的だし…かわいすぎだよ!!』
「いや〜…男は可愛いより格好いい方が嬉しいっつか…」
『見なよこれ!』
「?」
あたしは手鏡をブン太と一緒に覗き込んだ。
『ブン太と一緒に並んだら女のあたしより、男のブン太のが可愛く見えるじゃん』
「…まあ、俺のが実際肌綺麗で、目デカくて、髪綺麗だしな」
『キィー!!ムカつくぅぅ!!』
調子にのりやがって!!
『眉毛全部剃ってやる…』
「はっ!!俺の美貌が眉毛くらいで崩れるとでも思ってんのか?」
それ、どこぞの坊ちゃんの台詞だし。
『ナルシ!!ナルシブン太のぶぁーか!!』
あたしはブン太のもとから走り出して、ある人のもとへ向かった。
『雅治ー!!』
「ん?」
自分の席で居眠りしている雅治に声をかける。
「どうしたんじゃ」
『あのね、あのね、ブン太があたしより俺のが可愛いって言うんだ!!そんなのわかってるけど、調子にのってあざ笑われたから、ちょっとショックっていうか…』
ガタッ
その瞬間、雅治は立ち上がりブン太のもとへ歩いていった。