短編
□息
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自身を包む大きな腕。
見上げる程の身長差。
どんどん縮まる2人の顔の距離。
顔にかかるお互いの息。
息。
……い、き……?
『って、くせぇぇぇ!!』
「うおっ!!イタッ!」
キスする寸前、お相手の彼氏…謙也の息があまりに臭くて顔を背けてしまった。
その際、ウチの髪が謙也に当たったらしい。
「ちょ…急になんやねん!!KYやなまったく!!」
『やって…謙也息臭い…!!』
「は?マジで?」
謙也は口元を手で覆い、ハーと息している。
「…臭いか〜?」
『臭いわっ!!なんか…スルメの匂いする!!』
これじゃキスもスルメ味!!なんてロマンのない…!!
「スルメ…?あ、そういや弁当の後スルメ食べたんや!」
『オッサンか!!』
なんで学校に持ってきてまで食べるのだ!?
「あ〜…だから今日友達と喋ってる時、相手がよく顔をしかめてたんか」
『その時点で臭いって自覚しろよ!!』
臭いのは誰やって嫌やん!!