こんなせかいのなかで
□つ
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付き合うには、先があるんだよって、喰君が言ってた。
それをツクモちゃんに聞いたら顔を真っ赤にしてたし、イヴァさんに聞いたらもういっちゃダメって叱られた。
平門さんに、聞いてみようかな…。
でも、平門さんは今お仕事中だし。
うーんってお部屋で悩んでたら、ハクって呼ぶ声が聞こえた。
誰かな、平門さんかな。
扉を開けて顔を見ようとしたんだけど、前は見えなかった。
ぎゅーってされたから。
すぐに平門さんだってわかって、私もぎゅーって返した。
「ハク」
「ん、平門さん……お仕事は?」
今度こそ顔を見て言ったら、終わったから会いに来たって言った。
平門さん、疲れてる。
こういうときって、寝るのが一番なんだよね。
私は平門さんの手を引いてお部屋に入れた。
「ハク?」
「あのね、與儀が言ってたの。疲れてるときは寝るのが一番だって」
だから、平門さんも寝よう。
そう、言おうとしたけど、言えなかった。
平門さんに、キスをされたから。
「ん、っ……ひ、平門さんっ」
「ハク、心配してくれるのは嬉しいが」
ぎゅーって、すりすりってされる。
平門さんの髪が耳にあたってくすぐったい。
「他の男の名前を出すのはいただけないな」
「ひら───っ、」
平門さん、なんか、怒ってる、のかな。
いつも以上にちゅーってしてきて。
頭がくらくらする。
ぼんやりした思考のなかで、これ、なのかなって思った。
「ん、はっ……」
「可愛いな」
「っ、わ、ひ、平門さんっ」
平門さんが、髪を梳きながら笑う。
ああ、格好いいな、なんて思って、なんだか恥ずかしくなったから。
「ひ、平門さんっ寝よう!」
そう言って平門さんをベッドに押し倒した。
付き合うの先って、やっぱりよくわかんないけど。
平門さんとぎゅーってしたり、キスしたり。
そういうのが、付き合うの先なのかな。
恥ずかしいって、思うけど。
でも、もっとしたいって思うの。
つきあう、のさき
(喰君が言ったこと)
(よくわからなかった)
(知らなくてもいいことなんだと思う)
(だけど、)
((好きだから、知りたい))