こんなせかいのなかで

□か
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「え、」


少し、驚いた顔をした平門さん。

それでも、私はやめない。


「すっごく、平門さんが好きです!」


ずっと、この気持ちってなんだろうって思ってた。

やっとわかったんだ、私。

平門さんが好きなんだって。


みんなの"好き"とは違うんだって。



これは、"恋"なんだって。



「平門さんが、好き。…无とか、花礫とか、與儀とか、みんなと違う。…平門さんが好き」


私は、取り敢えず平門さんに好きって伝えたくて、好き好きって言ってた。

だけどね、平門さんがダメだって。


私の唇を何かが塞いだ。


「――――んっ」

「もう、わかったから」


それ以上は言うな。

平門さんはそう言って、また口を塞ぐ。


これが、平門さんの言ってた"きす"?


頭がふわんふわんしてきて。
お顔が、カーってなって。


「ひ、らっ…」

「ハク、俺も……ハクが好きだよ」


平門さんが、笑ってる。

平門さんから、すっごく嬉しいって、暖かいって伝わってくる。


「ひらとさっ」

「好き、だ」


好き?

平門さんが、私を好き?


「……ほん、と?」

「ああ、俺はお前が好きだ」


ねぇ、先生。

この気持ちは、なんていうの?


悲しくないのに、すっごく嬉しいのに。
涙があふれて、とまらないんだ。

平門さんは、笑ってその涙を手で拭ってくれる。

平門さんが、好き。

わからないけど、その気持ちがすっごくあふれて。


「好きっ」


そう言って私は泣きながら平門さんに抱きついた。

平門さん、好きなんだ。
すっごく好きで。


「ハク、顔を上げろ」

「ん、ひらと、さっ」


触れた、唇。

きす、だ。

あったかい。
ふにって、する。

やわらかくて。

なんか、あまい。


「ひらと、さんっ…」


あまくて、あまくて。

ふわふわ、どきどき、する。



平門さんは、私をぎゅーってしてくれた。

私も、ぎゅーってした。



あったかいが、あふれて。

うれしいが、とまらなくて。


ふれあう、あまくて、あまくて。

ふわふわ、どきどき、



すき、があふれて。





かないますように、ってずっと
(好き、平門さん、好き)
(そんな、好き好き言うな)
(…?好きなのに、好きって言っちゃダメなの?)
(いや、そういう意味ではないが(色々と抑えるのが大変になる))



((きす、ってすっごくあったかい))


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