小説

□告白
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「でもさ、熱斗くん……あんな悪ふざけだめだよ」
「いーじゃんいーじゃん! だってさ、どうせ炎山なんて俺のことただの友達としか見てないわけだしさ、あれくらい別に……」

熱斗は青いPETの中にいるロックマンと笑いながら話しているが、どこか表情が曇っている。
心配だが原因が既に分かっているロックマンは、半ば呆れたため息を吐き、そして素直じゃない熱斗に苦笑した。

すると熱斗のホームページにあるナビがやってきた。

「あれ、ブルース。どうしたの?」
「光に少し用事があってな……」

ロックマンの表情がわずかに歪んだ。熱斗でさえも分からない変化に、何故かブルースが気づいて首をかしげた。

「……どうかしたのか?」
「え? ううん、なんでもないよ」
「そうか……。光、さっきのメールの話なんだが……」

と、ブルースは困ったように先ほどの炎山の様子を事細かに伝えた。
炎山にバレたらお説教ものである。ちなみにブルースも、炎山が熱斗に好意を抱いているのは知っている。

「……というわけだ」
「聞いてよブルース、熱斗くん、炎山くんに嫉妬してほしいからってあんなメール送ったんだよ!」
「わっ、そういうわけじゃないって!」
「……なるほど」
「ブルースも納得するなよ!」

慌てて否定する熱斗だが顔が真っ赤なので説得力がない。

「ただ……炎山様があそこまで取り乱すのは初めて見た」
「そんなに? 熱斗くん、謝りに行った方がいいんじゃない?」
「でも……」

その時、熱斗のPETからオート電話の着信音が鳴る。
びっくりした熱斗は勢いよく電話に出た。

「も、もしもし!」
「熱斗か。そっちにブルースはいないか?」
「い、いるよー。ブルース、炎山が……」

言ってすぐブルースの姿が消えた。おそらく帰ったのだろう。

「あ、あの、炎山……」
「なんだ。俺は仕事で忙しいんだ。切るぞ」

電話は30秒ほどで終わってしまった。
明らかに機嫌が悪そうな炎山の声色に、熱斗は困った顔をした。

「熱斗くん、謝っておいで」
「……うん」

炎山の声が、怒ってるように聞こえて、でも寂しそうにも聞こえて、熱斗はなんだか胸が痛くなった。
ゆっくりと立ち上がりPETを掴むと急いで家を出た。
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