ちびまる小説
□娘の彼氏。その時、父は…
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「まるこに男が出来ただぁ!?」
「しっ!お父さん静かに!」
母は慌てて父の口を塞ぐ。
あまりに大きな声を出せば本人に聞こえてしまう。
「あのまるこに…。相手はどこのどいつだ!」
父は明らかにいらついた様子で酒をコップに注いだ。
高丸さんが言うにはね、と母が口を開く。
「顔は見えなかったらしいんだけど、どこかのいいおうちのお坊ちゃん風だったらしいわ」
「けっ!あのまるこに『お坊ちゃん』が惚れるわけないだろ。ただのお友達じゃねえのか」
「『お友達』って感じじゃなかったらしいんだけどねえ…」
母も正直「あのまるこに限って…」とこの状況に戸惑っていた。
「あいつはまだ中学生だぞ!ましてやこの辺にいいとこの坊ちゃんなんて、あの花輪とかいう金持ちしか居ないだろうが。」
「そうよね…」
ーーあの花輪家の一人息子がまるこを相手にするわけないし…。