天覇学園
□破天荒な編入生
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ー4月
晴れて天覇の中等生だった少年少女達がエスカレーター式で高等部に入学してきた。
広いグラウンドには待っていたかと言うように美しく桜が咲き乱れていた。
その横の体育館では、入学式が執り行われていた。
うきうきしてはしゃいでいる生徒達、校長先生の長話、来賓の挨拶に疲れて寝ている生徒……
この時期ならではの光景だった。
それは司会の一言だった…
「では、ここで新入生の挨拶です。我が校では珍しい学部からの編入生が入試を首席で通過しました。では代表、矢神 麗さんよろしくお願いします。」
編入生はざわめき立つ生徒達、教員、保護者達の視線を一気に集めながらゆっくり生徒達の通路を歩いて舞台上に上がっていく。
振り返った時には、体育館中が静まり返った。
編入生、彼女は誰もが美人と認めるくらい整った顔立ちであった。高校生には見えないくらい大人びていた。会釈をしただけでふわりと揺れる栗色の髪。全てが誰もを魅了していた。
挨拶を終えた彼女が舞台上を降りる時まで皆、彼女に釘づけだった。
式が終わるとすぐに彼女は体育館から出て行った。