ブロークン*ハート
□桜の季節、恋来い
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4月、晴れてギイと澪は祠堂学園高等学校に入学した。
ここは全寮制であるため、ほとんどの新入生が3月中旬から既に入寮していた。ギイと澪もそのなかに入っている。
寮には分けふりがあり、それぞれ寮長が一人ずつ付いている。
2人は大きな荷物を抱え、祠堂の門をくぐった。門の前には大きな掲示板があった。掲げられている紙には部屋番号と入寮生徒の名前が書かれていた。
澪「ギイ!あっち行こう!部屋番号書いてるみたいだよ!」
ギイ「あっ、ちょっ、はしゃぎ過ぎだぞ〜!」
澪「だってギイと同じ部屋だったらいいな〜って思ったんだもん♪」
ギイ「まったく……(くそ可愛いな)許す!」
澪「………………」
掲示板を見た澪の顔色が一瞬で曇った。
ギイ「…おい!澪、どうした?…!?」
ギイと澪の部屋は離れていた。
お互いの同室者は違う名前が書かれていた。
ギイは落ち込む澪の肩を優しく抱き寄せた。
本当は俺の方がめっちゃがっかりしてんだぜ…。
ギイ「…元気出せって!寂しくなったらいつでも俺を呼べ!すぐに会いに行くから!」
澪「ギイ…!わかった…ありがと」
あっという間に掲示板の周りには人だかりが出来ていた。今日入寮する生徒が多いようだ。
ギイ「人多くなってきたし、俺たちも部屋に荷物運び入れよう!」
澪「うん!寮どっちだっけ〜?」
ギイ「たしか、あっちのはず!」
「ねえ!君たち今から寮に行くの?」
ギイ「あ、はい。…あの〜、もしかして入寮生徒ですか?」
「そうだよ!てことは、同級生だよな♪あ、俺、赤池章三!章三でいいぜ♪よろしくな」
ギイ「俺は崎義一!みんなギイって言ってるから、そう呼んでくれ!」
赤池「ギイ……その女の子は…?」
澪「……………ギイ」
澪は震えながらギイの後ろにしがみついた。
そう、あの日陽大の件以来、澪はギイ以外の男性に触られたり、近づかれると過呼吸を起こすようになっていた。
澪はそのことをギイには秘密にしたいた。
ギイは話したがらないそんな澪の震える肩を優しくさすった。
ギイ「…大丈夫だから、落ち着いて。ゆっくり深呼吸して。…澪?…章三にちゃんと挨拶しないとだめだろ?」
澪「……ごめんなさい……赤池くん…。私、崎 澪。…よろしく…。一応…男、…女装じゃなくて普段からこんな感じだから……気持ち悪かったら…ごめんなさい…」
赤池「いや、何でそんな謝るの?…そんな別に俺、君の事気持ち悪いとか思ってない!そんな怖がんなくて大丈夫だぜ、澪!」
澪「!?……えっ」
ギイ「何か、悪いな…章三…!澪は誰からでも近づかれると動揺しちゃうんだ…でも根は優しいやつだから、よろしく頼む」
赤池「別にいいぜ、徐々に澪に僕の事知ってもらえばいいから。な、澪?♪」
なぜか赤池の熱い眼差しが澪に注がれていた。
震えはなくなったが、緊張していた。
澪「…うん、よろしくね」
ギイ「じゃあ、寮に行こうか!」
赤池「ああ!」
ギイと赤池はすぐに打ち解け会話を弾ませていた。2人の後に付いて行くのが精一杯だった。