数々学園高等部・徘徊記録

□徘徊No.6:体育祭と保健室
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「…ン……。」

でかかった欠伸を何とか留めて、前に向き直る。

寝不足の理由は、昨日帰った後、劉二に質問責めにあったからだ。
全く、どうしてそうなったのか…。

まァ、授業は今しているので最後なので、大丈夫だろう。
しかも、授業であって授業ではないようなものだ。

…というのも、今は総合の時間なのだが、体育祭が近付き、その選手決めにあてられた。
前では、体育委員である一佐が仕切っている。

ちなみに、万宮先生は言う事だけ言って、教室の一番後ろに行き、イスに座った。
…要するに、丸投げした。

「誰か、コレがしたいって競技はあるか?」

一佐が皆に呼びかける。
周りは、あれこれと相談している。

黒板に書き出されている競技を改めて見ると、ベターなモノから、全く聞いた事の無いモノまで様々だ。

1人1種目は必ず、なので何にしようかと考えていると、

「…決まったか?」

前の席に居る劉二が振り返って、聞いてきた。

「いや、まだだ。劉二はどうするんだ?」

首を横に振って言い、逆に聞き返した。

「俺もまだだよ。
とりあえず、なるべく楽なのをやろうかと。」

運動が出来るので、もったいない気もするが、楽なのを、というあたりが劉二らしい。

「でも、俺も同意見だな。」

言うと、劉二が驚いたような表情を見せる。

「…珍しいな。」
「…あァ、そういう事。ちょっと、な。」

あまり言いたくない事なので、言葉を濁した。
それに、言うような事でもない。

劉二は、

「そうか。」

と一言返しただけで、それ以上は追求してこなかった。

「お〜い、皆、決まったのか?」

一番張り切っているであろう一佐の声が教室中に響いた。


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