数々学園高等部・徘徊記録

□徘徊No.4:テスト結果と関わり
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式から1週間が経った。

視線は相変わらずだが、比較的穏やかに過ごしている。

(まァ、こんなモンか。…ここは凡ミス、だな。)

席に戻って、返された数学のテストの点を見、分析する。

周りは、点数比べをして喜んだり、マジかよ!?といった声が聞こえる。

しかし、それはすぐに収まった。

理由は、

「少し黙れ。席立っている奴も早く着け。」

数学教師兼担任の万宮先生が放った言葉で全員が席に着き、教室全体が静まり返ったからだ。

「お前ら、学年最高と最低それと平均、どれから言って欲しい?」

唐突な万宮先生の問いかけに皆一瞬戸惑うが、やがて、

「平均からがいい!」
「最低が先だろ!」

等といった声が聞こえてくる。

「…じゃあ最初に言った奴の意見を尊重して平均から言うぞ。
最後に最高点な。」

万宮先生がまとめて、黒板に数字を書く。

42.6。

「これが平均だ。…騒ぐのは終わってからにしろ。」

騒がしくなる事を見越して注意する。

続いて最低点を書くかと思いきや、

「最低は15だ。ちなみにうちのクラスじゃねーぞ。」

口頭で伝えた。

「日々谷じゃないのか!?」

どこかからそんな声が聞こえた。

「誰がんな点取るか!」

負けじと後ろにいる一佐が声を上げる。

「騒ぐのは終わってからにしろと言ったろーが。」

とりあえず、この場はコレで収まった。

「最後だ。最高は97。」

…えッ?

慌てて自分の点を見る。
そこには紛れもなく『97』と記されていた。

「隣にいる洲々伐じゃねーぞ。」

その言葉にクラス全体がざわつく。

…洲…じゃない、七束君て頭良いのか。

「おら、黙りやがれ。
誰かはあまり詮索すんなよ。」

生徒に注意を促し、問題解説と付け間違いがないか確かめる。

「間違いが無いなら締め切るぞ。」

と言った所で、チャイムが鳴る。

「号令はもういいぞ。
伝達事項も無いから勝手に帰るなりしろ。」

コレが今日最後の授業なので、一度に済ませる。

「あッ、軒上、10分後ぐらいに数学準備室に来い。」

と言い、教室を出ていった。

瞬時にざわつく。

「…零、お前何かしたのか?」
「日々谷じゃあるまいし、変な事はしねェだろ。」

後ろから一佐、前からは劉二の声がかかる。

「覚えは無いけど、呼ばれたからちゃんと行くよ。」

ただ、俺が一番心配したのは、呼ばれた理由よりも

(数学準備室に無事辿り着けるのか?)

だった。


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