数々学園高等部・徘徊記録
□徘徊No.3:式と人々
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あれから、慌ただしく時間が過ぎていき、いつの間にか式の日になっていた。
休み中に俺は、部屋を掃除したり、周辺を把握したりしていた。
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食堂の事は短期間で知れ渡り、零はある意味で有名人となっていた。
無論、そんな事は露知らず零は、休みをのんびりと過ごした。
…ただ、相手が何を思っているのかは分からなくとも視線がいいものではないことを零は分かっていた。
(俺、何かしたっけ?)
視線を感じる度にそう思っている。
しかし、二人に心配はかけたくないので零は、黙ったままにしていた。
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始業式も兼ねていて、今、この講堂内は生徒全員が集まっている。
「ふわァ……」
隣に座っている劉二が退屈なのか欠伸をした。
退屈なのは仕方がないと言えば仕方がない。
今、長々とした挨拶が繰り広げられているからだ。
周りを伺うと劉二と同様に眠そうな生徒が何人もいる。
俺は、真面目に聴いている体を装い、考え事をしていた。
…今も感じるあの視線。
決して友好的ではない。むしろ敵意すら感じる。
……だが、いくら考えても答えは出てこない。
「はァ…」
誰にも気づかれないよう小さく溜息をついた。
それと同時に長々とした話が終わり、慌てて頭を下げた。
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