数々学園高等部・徘徊記録

□徘徊No.2:寮と同室者
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「…大きいな……」

俺は、寮を見上げ、その大きさ…というより高さに圧倒されていた。
本日、何度目だろうか。

「早く慣れとけよ」

呆けている俺に一佐が声をかけた。

「あ〜、うん。努力はするよ」

俺は、半棒読み状態で返しす。

外にいてもなにも始まらないので俺たちは、寮内に入り歩いていた。

人の姿が見えないと思っていたら、どうやら皆、部屋の整理で追われているそうだ。

「そういや、零って何号室?」
「えーと…0020…だな」
「おッ、俺と近い!」

途端、一佐は嬉しそうな声をだした。

「一佐は何号室なんだ?」
「0015だ。零の部屋から右に三つ」
「…ん?何かおかしくないか?」

いくら番号で並べていてもそんな配列にはならないと思う。

「初代の学園長が適当に振ったらしい。
で、戻すのも面倒くさいからそのままなんだと」
「あァ、だから階段を上ったのか…。何で適当にしたんだ…?」
「さァ?多分、気紛れなんじゃないか?…着いたぞ」

言いながら、あるドアの前に止まった。
ドアの横には『0020』とあった。

「何か緊張するな…」
「俺と一緒行くか?」
「いや、いい」

一佐の申し出はありがたかったが、あえて断った。
やはり、一人でキチンと行きたかったからだ。

そんな俺の考えを読んだのか、

「じゃ、俺は部屋に戻っているから。何かあったらいつでも来いよ」

と言ってから、去っていった。

残された俺は、気合いを入れ直し、ドアは開いていたようなのでそのまま開けた。

…その後に待ち受けている事が何なのかはまだ知らずに―――。


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