数々学園高等部・徘徊記録

□徘徊No.0:プロローグとことの発端
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「………大きい…。
いや、生徒が多いのは分かるけど…」

俺、軒上零(ノキガミ・レイ)は数々学園の校門(裏門)に圧倒されていた。

いや、だって普通の学校の正門より倍以上は大きいもの!
しかもそこはまだ裏門だ。
「俺、ここで本当に大丈夫なのか…?」

溜め息をついた。

「うゥ、担任め…。今更どうしようもないけど…。」

―――――

ある冬の休日、俺は兄の軒上零霧(ノキガミ・リンム)と妹の軒上零霞(ノキガミ・リョウカ)と机を隔てて向かい合っていた。

「…今、何て?」

リン兄、つまり零霧が聞き返す。顔を見ると焦っているみたいだ。

「いや、だからここに行くことを勧められた。」
「…零はどうしたい?」
「勧められたからには行こうと思う。」
「…勧めたのは誰?」
「担任」
「…(おのれ担任め…。)ここがどんな所か分かってる?」
「んと…男子校で全寮制」

リン兄の質問攻めに一つ一つ答える。

「……それだけ?」
「…ほかに何が……あッ、生徒が多くて幼稚園から大学までエスカレーター」
「そこじゃないんだ…」
「?」

何か、間違ったことを言ったのかと、首を傾げる。それ以外にあるのだろうか?

「…零霞ァ、助けてェ……」

何故かリン兄は隣に座っている零霞に助けを求めた。

「えェ…ん〜、と……れ、零兄、襲われるよ?」
「…俺、恨まれることしたっけ?」

今までの過去を振り返ってみる。
…う〜ん、特に恨まれることはしていないハズだが……。

「そうじゃなくて…零兄って綺麗だし」

俯いて考えていると、よく分からない単語が聞こえてきた。

俺が「綺麗」……?

「…何を言っている?それは零霞とリン兄のことだろ?
俺は普通以下じゃないか。」

俺は、日頃思っていることを言った。

…アレ、何で2人共ポカンとしているのだろう?
そして、2人は呆れたようにこそこそと話し始めた。

「…リン兄、これはもうお手上げです……」
「…兄ちゃんもですよ…」
「…もう行かせたらどう?」
「ッ!しかし零霞、零の過去を知っているだろう?」
「でも子供じゃないし…。
……あッ!こうしようよ!」
「………う〜ん、仕方ないか…。それなら妥協しよう。」

長いひそひそ話の後、俺の方に向き直った。

「…零、1つ約束して。」

いつになく真剣なので、思わず、

「な、何でしょうか?」

敬語で返した。

「このメガネを掛けて行くこと。」



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