番外篇

□競技決定秘話
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〜生徒会室にて


「で、どうするの?」

今まで珍しく黙って仕事をしていた結十が急に皆に問いかけた。
何の事を指しているのか分からず、痺れを切らした千貴が、何の事だと訊き返した。

「生徒会種目だよ」
「そういえばもう決めないと、ですね」

書類から顔を上げた百瀬がポンッと手を打つ。
それを皮切りに各々仕事の手を止めた。

「選手書類、何処?」
「あァ、それならコレだ」

三重が隣居る四祈に紙の束を渡す。

因みに何故風紀委員長の三重が居るのかというと、百瀬に捕まったからだ。
正確にいうと、四祈を生徒会に送り届けた時に頼まれた。口調こそ穏やかだが威圧感が凄く断り切れるモノでも無い…というより、今まで何回もこういう事があったので、もう慣れている、ともいえた。
そんな訳で三重は此処に居るのである。

「どれどれ〜、誰が出るの?」
「結十、四祈さんが困っているから乗るな」
「はいは〜い」
「はァ…」

溜め息を吐く絵十を知ってか知らずか、結十は選手名簿を覗き込む。
皆もぞろぞろと四祈の机の周りに集まってきた。

「へェ、スズちゃん、出るんだ」
「うわ、九繰もかよ…」
「スズが居ると九繰が居るのは必然ですからねェ。…ほう、昂八君も」
「…六巳さんもですね。珍しい」

話しながら、書類を見比べていく。
その中で一つあるクラスが、否一人の生徒名が絵十以外の目を引いた。
絵十は驚く皆を見て、悪戯が成功した子供のように笑う。

「…零、出るんだ」

誰も言わなかったその名を四祈がぽつりと呟いた。


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