番外篇

□ある日の軒上家〜ハロウィン篇(零:中学二年)
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買い物から帰った俺は、リビングに入った途端、動きが止まってしまった。

原因は…

「おかえり〜。…アレ、何突っ立ってるの?」

暢気に問いかけてきた零霞だ。

「…零霞、その格好は何だ?」
「見ての通り、魔女だけど?」

まァ、それは分かる。
特徴的な帽子といい、手に持っている箒といい、どこから見ても、魔女の姿そのものだ。

問題は、何故、今その格好をしているんだ、という事である。

ゆっくりと冷静さを取り戻し、買ってきたモノを片付けながら問う。

「だって今日は…ね?」

ね?て言われても学校でも散々言われていたアレしか…。

「…ハロウィン?」
「大当たり〜!」

…そういえば、去年も何かしらの格好をしていたな。確か南瓜…だったっけか?

「…というわけで、お菓子くれなきゃイタズラするぞ?」

こっちまで寄って来て、小首を傾げ、ねだられる。

「あ〜、冷蔵庫にプリンがあるから、それで。」

…作っておいて良かった。

「おォ、流石零兄!あとで皆で食べよ?」
「あァ、そのつもりだ。」

話していると、

「零、帰ってた……。」

リビングに来た兄が、俺と同じようにフリーズした。

「…えーっと…りょう、か?その格好は…?」
「見ての通り魔女だけど…もしかして、似合ってない?」
「むしろ似合い過ぎています。」

…何で敬語?

「良かった。有り難う!…あ〜、ところで、ハロウィンだから、ロシアンクッキー作ったんだ。」
「いつの間に…。」

いつも思うが、零霞は、唐突だ。

「外れた人は罰ゲームでどう?ちなみに、砂糖の代わりに塩が入ってるよ!」
「入ってるのがベタだな。」
「まァ、無礼講だからいいんじゃないか?」

兄が賛同して、結局兄妹3人で、ロシアンクッキーを食す事になってしまった。


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