番外篇

□裏取引
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〜Side 零霧


零が数々学園に行くと言った時、当然俺は反対した。

零は覚えていないが、過去の事がある。
そして、あんなに可愛いのに本人は無自覚だ。
向こうに行ってしまったら何をされるか分からない。

しかし、零霞と相談のした結果、条件付きで行かせることにした。
…まァ、零霞は、仕事的な意味で得するからな。…このことを零は知らないけど。

ただ、その話が終わった後でも心配で仕方無かったので、自分の部屋に行き、ある人物に連絡を取ることにした。

数回の呼び出し音の後、その人物は電話に出た。

「はい、もしもし、数総です」

そう、俺は、数々学園の理事長に連絡を取ったのである。

「もしもし、軒上零霧です」
「おォ、零霧君か。どうしたんだ、一体?」
「ちょっと頼みたい事があります」
「承諾するかは、内容によるが…」
「では、お話しますよ。私に弟がいることは知っていますよね?」
「零君のことかい?」
「はい。その零が今度そちらに行くのです、けど…」
「けど?」
「零は困ったことに、自分の容姿に対して無自覚なんですよね」
「…それで、私にどうしろというんだ?」
「編入することも含めて、生徒に対し、情報規制をかけて欲しいのです」
「なんだ、そんなことか。お安いご用だ。何より、君の頼みを断るワケにもいかないしな」
「有り難う御座います」
「ただ、1つだけいいかい?」
「…何でしょう?」
「君のことだから、零君に何らかの施しをするだろう?私はキチンと素顔を見たいんだが、いいかな?」
「…どうぞ。アナタなら大丈夫でしょう。私の名前を出したら素直にすると思いますよ。ただし、私と繋がっているということは、はぐらかしておいて下さい」
「分かった。用はそれだけ、かな?」
「はい。お時間を取らせてしまってすいません」
「そう堅くなるな。そうだ、また飲みに行こうじゃないか」
「ええ、いいですよ。ではその時を楽しみにしています。では、失礼します」

電話を切り、ソファに寄りかかる。

気休め程度だが、何もしないよりかはマシだ。
悪いようには、働かないだろう。

ふっと息を吐いて、俺はそっと目を閉じた。


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