番外篇

□兄と電話
1ページ/1ページ

〜Side 零霞


部屋でPCに開いた原稿と向き合っていると、置いてあった携帯が震える。

原稿の催促かと思ったら、まさかの零兄だった。

「何々……『お菓子有り難う。あと、同室者はいい人そうだ』…か」

うん、こっそり贈ったものが喜ばれるのは嬉しいことだ。
…最も、リン兄が贈ったものは喜ばれていないと思うけど。

さて、どう返そうか…。

………てゆうか、私にメールをくれるっていうことは暇なのかな?

少々悩んだ末、思い切って電話することにした。

…いいネタが手に入るかもしれないし…。

数回の呼び出し音の後、

「もしもし?」

電話に出てくれた。

「もしもし、零兄?」
「どうしたんだ、零霞?」
「ちょっと話したくて。…今は大丈夫?」
「あァ」
「良かった〜」
「そうそう、お菓子ありがとな。」
「あ〜、アレね。皆で食べて。…私が作ったから味は保証しないけど。クッキーだから日持ちするよ」
「零霞が作ったのか?箱が市販っぽいからてっきり…」
「見た目に騙されちゃダメってことで」
「ははっ、まさにそうだな。…あとさ、一緒に入っていたのって…」
「リン兄から。言っとくけど、私は止めたよ?」
「…スマンな、零霞……。……同室者に軽く引かれた…」
「ご愁傷様。…どんな人だったの?」
「人を寄せ付けない雰囲気だけど話したらいい人だった。…色々あって素顔見られた」
「…本当に……?」
「あァ。…リン兄には言わないでくれるか…?」
「うん、分かった。言った後が怖いし…。かわりにその人、紹介してね」
「ありがとう。また、機会があれば、な。
…そういえば、一佐に会った」
「…一佐……もしかして隣の一佐君?」
「もしかしなくてもそうだ」
「言われてみれば、一佐君そこだっけ」
「俺も会うとは思わなかったよ」
「ほうほう…。まァ、頑張ってね!」
「おう。じゃあ、零霞、また」
「またね〜」

そうして電話は終了した。

一佐君も大変だねェ。
今度、からかってみようかな?

そして、同室者も零兄に落ちただろうなァ…。

…何はともあれ、

「ネタも降ってきたことだし、書きますか!」

私は、軽快にキーボードを打ち始めた。


.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ