残酷物語

□If there is no arm
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俺は散歩していた。
ただ普通に散歩していただけだった。

しかし、急に草が足に絡まった。
何故かかなりしつこく絡まり動けなくなってしまった。
俺は草をちぎろうと腕をのばすが腕は無いため、ちぎれずに終わった。

そして、ふと、顔をあげると芝刈機がこちらに向かってきている。
ものすごいスピードでだ。

どうして俺には皆みたいに自由に動かせる腕が無いのだろう。
カドルスやペチュニアだって一度腕を無くしていたし、はっきり言えば皆、何か失っているはずだ。
なのに皆は次の日には何事も無かったように戻っている。

なんで、なんで俺だけ?なんで俺だけ腕が戻らない?
腕が無いと色々不便だ。

今も腕が無いせいで逃げられない。

どうせなら、いっそこのまま死んでしまいたい。でもどうせ生き返る。
俺だけ?俺だけ差別されてる?ハッピーツリーは俺だけ見捨てた?

ただ辛さだけを感じろって?

そんなの不公平だ。

なんで、なんで俺だけなんだ。

瞬時の間に沢山の思いが込み上げてきた。

ついでに涙がボロボロと込み上げてきそうになるが、耐えていつものようにしかめっ面をする。

ぐんぐんと近づいてくる、芝刈機。
俺は死を悟ると、ハッピーツリーがある方角に向かって叫んだ。

『ど…うして…!!』


そう叫ぶと同時に身がちぎれた。激痛のあまりに腕を振り上げ、芝刈機をとめようとした。

しかしやっぱり腕なんて無いから止めれる筈も無く。

そうして俺はむせかえるような血の臭いの中、何度目かの死を迎えた。
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