ツバサ・クロニクル
□阪神共和国3
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「ここは…?」
ピカアアアッ
目の前にゆきの巧断の蝶が現れた
「あなたは…」
蝶「あなたは無理をし過ぎです。皆がとても心配しています」
「あたしは…」
蝶「自分の事はどうでもいいとお思いなのですか?あなたの痛みはあなただけのものでは無いのですよ」
「………」
蝶「皆さんが待っています。さあ、戻りましょう」
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ゆきは重たい瞼をゆっくり開けた
「そうか。気配はしたけど消えてしもたか」
(この声は…空ちゃん?でも何で空ちゃんがいるの?)
フ「ゆきちゃん!」
モ「ゆきが起きた〜!」
空ちゃん「おう!やっと目が覚めたか!」
小「…良かった」
「皆…あたし一体…」
フ「ゆきちゃん倒れちゃったんだよ〜巧断使ってすぐに〜。それで黒たんがゆきちゃんをここまで運んでくれたんだよ〜」
(黒が…)
「迷惑掛けてごめんなさい…」
黒「謝るくらいなら倒れるな」
空汰「まあまあ無事やったんやし良かったやん!」
笑顔で言う空汰を見詰めると空汰の頭には大きなタンコブが出来ていた
「空ちゃんその頭どうしたんですか?」
空汰「これはな…ハニーの愛のムチや〜v」
(あ〜…何となく想像がついたかも)
空汰「ハニーはいつも俺の事を…」
(何か話長くなりそうだな〜…)
「そういえばさっきまで何の話してたんですか〜?♪」
空汰「おお!せやった!今皆で巧断の話をしていたところなんやった」
「巧断の話?」
空汰「せや、確か小狼の中から炎の獣みたいなんが現れたんやったな?」
小「はい」
「あの時の…」
フ「やっぱりあれって小狼君の巧断なのかな〜?♪」
空汰「おう!それもかなりの大物やぞ!ゆきと黒鋼に憑いとるんもな」
黒「何故分かる?」
空汰「あのな、わいが歴史に興味持ったんは巧断がきっかけなんや。わいは巧断はこの国の神みたいなもんやと思とる。この阪神共和国に昔から伝わる神話みたいなもんでな、この国には八百万の神がおるっちゅうんや」
モ「八百万ってな〜に〜?♪」
空汰「八百万、それは仰山ちゅう意味や」
モ「神様いっぱ〜い♪」
小「その神話の神が今巧断と呼ばれるものだと」
フ「神様と共存してるんだ〜♪凄いねぇ〜♪」
小「この国の神はこの国の人達を一人ずつ守ってるんですね」
空汰「小狼もそう思うのか!わいもずっとそう考えとった。巧断、つまり神はこの国に住んでるわいらをごっつう好きでいてくれるんやなぁって」
空汰が嬉しそうに語っていると近くにいる嵐がそれにつられ微笑んでいる
「一人の例外もなく巧断は憑く。この国の奴全員一人残らず神様が守ってくれとる。まあ阪神共和国の国民は血沸き肉踊るモードになる奴が多いけど。負けず嫌いやし、よう口はまわるし。ボケたらつっこむの基本やし。我が国の野球チームが勝ったら大騒ぎやし。河飛び込んだりな。けどななかなかええ国やと思とる。そやからこの国でさくらちゃんの羽根を探すんは他の戦争しとる国や悪い奴しかおらんような国よりはちょっとはマシなんちゃうかなって」
小「…はい」
小狼はいとおしむようにさくらの髪を撫でた
嵐「羽根の波動を感知してたのに分からなくなったと言っていましたね」
モ「うん」
モコナしょんぼりと俯いて答えた
嵐「その場にあったり誰かが只持っているだけなら一度感じたものを辿れないという事は無いでしょう」
(確かにそうだよね。でも、だとすると…)
嵐「現れたり消えたりするものに取り込まれているのでは?」
小「巧断ですか!?」
「確かに巧断なら出たり消えたりするものね〜♪」
フ「なる程〜♪」
黒「巧断が消えりゃ波動も消えるな」
小「巧断の中にさくらの羽根が…」
フ「でも誰の巧断の中にあるのか分かんないよねぇ〜縄張り争いしてたもんねぇ〜」
モ「あの時巧断いっぱいいた〜!」
(巧断ってなるとちょっと厄介だな〜…)
空汰「けど、かなり強い巧断やちゅうのは確かや」
黒「何故分かる」
空汰「さくらさんの記憶の羽根はとても強い心の結晶のようなものです。巧断は心で操るもの。その心が強ければ強い程巧断もまた強くなります」
フ「とりあえず強い巧断が憑いてる相手を探すのがさくらちゃんの羽根への近道かなぁ〜♪」
小「はい」
モ「モコナも頑張る〜!」
空汰「そうと決まったらとりあえず腹ごしらえと行こか!今日は肉うどんといなり寿司やで!わい出勤前に下拵えしといたんや!黒鋼とファイは手伝い頼むで〜♪」
フ「喜んで〜♪」
黒「何で俺が(怒)」
空汰「働かんもんは食うたらあかんのや!」
モ「モコナも食べるから働く〜♪」
小「俺も手伝います」
「あたしも〜♪」
空汰「今日はええ。ゆきは体調悪いんやさかい休んどき。小狼はさくらちゃんとずっと離れとって心配やったやろ。顔見てたらええ。出来たら呼ぶさかい」
「…ありがとうございます」
小「…ありがとうございます」
パタン