ツバサ・クロニクル

□始まりと出会い
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初めて侑子さんに会った所にたどり着くと、そこには雨に濡れてる少年が大事そうに少女を抱き締めてる姿が目に入った。

「あなたが…次元の魔女ですか?」

「そうとも呼ばれているわね」
侑子は初めてあたしと会った時と同様冷静だった。
(きっと侑子さんの事だから何か考えがあるんだよね…?)
ゆきもまた侑子と同様に冷静に彼等を見守る事にした。

「さくらを助けて下さい!」

「この子さくらと言うのね。」

「はい。」

「あなたは?」

「小狼です。」

侑子はさくらに近寄り手をかざす。

「この子は大切な物を無くしたのね。」

「…はい。」

「そして、それは色んな世界に飛び散ってしまった。このままではこの子死ぬわ。」
小狼はさくらを強く握り締め、ゆきは先程まで冷静でいたはずの身体が震えていた。大切な人が目の前で死んでしまう経験をした事があるからだ。
侑子さんはそんなゆきを見て大丈夫よと目で合図をした。

「四月一日」

「はっはい!」

「宝物庫に行って来て。取って来て欲しい物があるの。」

四月一日にそう言うと視線を小狼に向きなおす。

「その子を助けたい?」

「はい!」

「対価がいるわ」

「おれに出来る事なら!」


キイイイイイイ
物凄い音が鳴り響く。

「来たわね」

侑子がそう言うと突然空と地面が盛り上がり金髪の男性と黒髪の男性がそこから現れた。

「貴方が次元の魔女ですか?」
「てめぇ誰だ?」
二人の声が重なると一人の男性は眉をしかめ、声が重なった相手を睨んだ。

(息はぴったりだけど随分正反対なキャラ…)
ゆきは興味津々に二人を観察した。

「先に名乗りなさいな」

「俺ぁ黒鋼。つかここ何処だよ?」

「日本よ」

「ああ?俺がいた国も日本だぜ?」

「それとは違う日本」

「訳分かんねーぞ」

侑子はもう一人の方に視線を反らす。

「あなたは?」

「セレス国のウィザード、ファイ・D・フローライトです」
彼は優雅に御辞儀をし挨拶した。

(何て礼儀正しい王子様みたいな人なんだろう…)
ゆきは遂その人に見とれてしまった。

「ここが何処だか知ってる?」

「相応の対価を払えば願いを叶えてくれる所だと。」

「その通りよ。」

「さて、あなたたちがここに来たという事は何か願いがあるという事」

「元いた所へ今すぐ帰せ」
「元いた所にだけは帰りたくありませんね」

二人の言葉がまた重なった瞬間、ゆきは不謹慎にもこの状況で笑ってしまった。
(何この人…達面白すぎ)

それに気付いた二人がこちらを見た。

「おい…女!今笑ったな!」

「ごめんなさい。だって…あまりにも息がぴったりだったから遂…ぷっ」

「てめぇ!」

黒鋼がゆきに近づこうとした。
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