ツバサ・クロニクル
□望みが叶う店
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ヒュルルンッ
ゆきはある所にたどり着いた。
「…お母さん…ソラ…皆…」
「残念ながらあなたの知っている人達はもうこの世にいないわ」
綺麗な女性はあたしの血塗れの服を見ても動じず坦々と口から言葉を放つ。
堂々とした眼差しに嘘などは感じられなかった。
「…そんな」
ゆきはその場に泣き崩れた。
長い長い時間が過ぎようやく落ち着いたゆきは不思議な場所の辺りを見渡す。
「落ち着いたかしら?」
「はい…あの…ここは何処なのでしょうか?」
「ここは日本よ。そして願いを叶える店。あなたがここに来たという事は何か願いがあるのでしょう?」
「…い…死にたい」
「その願い叶える事は出来ないわ」
「…どうして?何でも叶えてくれるって言ったじゃない…」
「それがあなたの母の願いだからよ」
「お母さんの…願い…」
あたしはふと最後に母の言った台詞を思い出すとまた涙を流した。
「もう一度聞くわ。あなたの願いは何?」
「…敵を討ちたい。あたしの国を滅ぼした奴を…倒したい。」
ゆきは目に涙を溜め込みだから真っ直ぐに強い眼差しで女性を見つめた。
「その願い叶えましょう。けれど今はまだその時では無いわ。時が来るまでここにいなさい。」
「…分かりました」
そしてゆきはしばらくここに居候する事になった。