HQ!!BL
□永遠の17歳
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「トビオ……?」
そう呼ぶとそいつは振り返った。
黒い頭と揃いの瞳を大きく見開き、驚愕の表情をつくる。
その顔は、まだ幼い。
「及川……さん?」
信じられないとでも言うように呟くその声は、俺の知っているトビオのそれそのものだった。
………でも違う。このトビオは、「今」のトビオじゃない。
これは気のせいでも何でもなく……
幼い。
「な、なんで及川さん、ここに……、じゃなくて及川さん、ですよね!?」
幼いトビオはパニックになっている。
いやまぁ俺も現状が一切把握出来てないけど。
俺も軽くパニクってる。
おろおろと右往左往するトビオ可愛い、ではなくて、
「あの、取り敢えず……、
座って落ち着いて、お茶でも飲もうか?」
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一体何がどうなっているんだ。
俺の目の前には今、正座する高校生のトビオがいる。
そしてそのトビオの前には俺の淹れたお茶がある。床に直置き。
俺は自分用に淹れたお茶を一口飲んでから、もう一度現状を把握する。
ここは俺の部屋。
独り暮らしのワンルームマンション。
俺がここでだらだらごろごろしていたら、何かが落ちる音がして、体を起こして振り返ってみると、なぜか高校生のトビオが居た……と。
幻覚とか夢じゃない。
試しにお互いの頬を引っ張り合ってみたけどちぎれるかと思うほど痛かった。
高校生ということは、「今」からたった5年前の話で、あまり幼いとは言えないかもしれない。
今はまだ5月だから、誕生日12月22日のトビオは今、ぴっちぴちの15歳。高校1年生ということになる。
トビオは部活の練習着という出で立ちで、俺はものすごく懐かしい気分になった。
「あの、及川さん。」
トビオが俺の服の裾を引っ張る。
え、なにそれ可愛いキュン死できる。
しかも俺もトビオも正座してるから膝がかすめるほど近くなった。
あーもうこれだから天然なお子さまは。
そういう邪気のない色っぽさってのは、けっこうそそる。
汚したくなる。
って、いくらトビオだとは言え、大の大人が高校生になんてことを思ってるんだ。
溜まってんのかなぁ俺。
いっそこのトビオが幻覚だったら、構わず本能を解放して、押し倒してめちゃくちゃにしてやるのに。
しかし表情にはそんなこと出さずに、あくまで笑顔の仮面をつけたままで対応する。
「なーに、トビオちゃん。」
「あ、あの、その……。」
戸惑っているのか、トビオはしどろもどろになってうつむく。
だからあんまりそういうことやると、キュン死するって言ってるじゃん。
可愛いからいいけど。
俯いて顔を赤くするトビオは俺の心臓を狙い打ち☆
このままトビオを眺めてても有意義な時間が過ごせるけど、話が進まない。
トビオは少し俺を警戒しているようで、そんな小動物系なところも可愛い。
デカイ図体してんのに、なんでこんなに愛らしく見えちゃうのかねぇ。
「久々の」トビオちゃんだからかな。
俺は煩悩が思春期の男子高校生なみに爆発していた。
まぁそんなこと表情に出しませんけど。
トビオは高校生のとき、もっと生意気だったと思うんだけど、今はその生意気な口を、開かない。なにかすごく言い辛そうで、もぞもぞとしている。
ああそうか。トビオからしたら俺はまだ知らない人ってことになるのか。
俺は高校時代のトビオを知ってるからこいつがトビオだと確信できるけど、トビオからしてみれば俺が本当に5年後の「及川さん」なのかどうか、確信する術はないんだからね。
もしかしたら通りすがりのイケメンかもしれないし。
トビオは口ごもりながら言った。
「及川さん……………………………………………………………………………〜その、言いにくいんですけど、」
勃ってますよ。
顔に出さないように努めてたら体に素直に反応が出てしまったみたいだ。
俺のバカ。