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球技大会の日の放課後、
雨の降る放課後だった。
「…なに…して……」
俺は見てしまった。
人気のない学校の裏側でクラスの人気者、
佐倉颯人が動物を殺している所を
「…見てたのか…?」
素早く近づいてきた佐倉は、動物を捌いていたナイフ俺の喉元に突きつけた。
「誰にも言うなよ。言ったら……」
「殺すのか?」
特に怯える気持ちもなく、
ただ佐倉を見た
佐倉は少し驚いた表情をした。
「お前…怖くないのか?」
俺は突きつけられたナイフを握る
鋭い痛みが走った。
「怖いよ…って言ったらいい?」
更に佐倉は目を丸くした
「お前…」
佐倉はナイフを握る手の力を抜いたようだ
俺も、ナイフの刃を掴む手を離す
ポトッ、とナイフは二人の足元に落ちた。
「「………………………………………………」」
少しの沈黙の後、俺は息絶えた動物の側へ歩み寄る
そしてしゃがみ、手を合わせた。
「よくしてんの?こういう事」
その状態のまま、佐倉に語りかける
「………」
彼は答えない。
何となく、あの躊躇ない所を見てそう思った。
「だったら、何だ」
「別に」
俺はこの動物を埋めてやろうと素手で土を掘り始める。