book

□プロローグ
1ページ/1ページ



五月蝿い
五月蝿い


ワッとわき上がった歓声に、
つい耳を塞いでしまう。

只今球技大会。
今の歓声はある青年が俺のクラスを勝利に導いた歓声。

だが俺はその歓喜の輪の中に居ない


……高校に上がって、
気づいたら一年が過ぎ、いつの間にか二年になっていた俺。

友達はいない
内気な性格と
この陰鬱な容姿で、今では俺に話しかける人なんか居なくなった。

…実は狙い通り、だったりするんだけどな。
この状態を俺はあまり気にしてはいない。

五年前に亡くなった俺の親友、
文武両道に長け、人気者で、優しく美人な幼なじみ

俺の友はそいつだけだ。

他に仲良しなんて要らない。

だから、こうして一人で居る
ま、過去どうこう以前に昔から内気で他人と関わるのが苦手な俺には友なんか出来るとは思わないけどな。

俺は、何気に歓声の中心に居る青年、佐倉颯人を見た

何となく、元親友とキャラの被る
文武両道才色兼備で人気者の、他人に興味のない俺でも名前を覚えてしまった奴。

眩しい世界に目を細めながら、
俺は全体にかかった集合号令に従い皆の居る場所へ向かった。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ