ふたりごと【◇A】【御倉御】
□夢
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気づいたらどこかの公園にいた。
もう夕暮れだと言うのに1人、帽子を被り眼鏡を掛けたガキがいる。
近寄るとそのガキは泣いていた。
頻りに誰かの名前を呼んでいるようだったが嗚咽混じりで聞き取れない。
小さな手で必死に目元を擦るも溢れる涙は止まらない。
俺が涙を拭ってやろうと手を伸ばすも何故かそのガキまで届かず俺の手は空を切る。
何故かこのガキと昔の自分とを重ねてしまう。
だからこそ目の前にいるのに。
俺が何とかしてやれるかもしれないのに出来ない自分が歯痒くて情けなくて。
「――――」
何処からか声がした。
「―――ち」
何て言ってんだよ。
「――もち」
俺を呼んでんのか?
「―らもち」
うるせぇよ、俺は今コイツを―
「倉持!」
ハッと目を覚ますとそこには呆れた様に溜息を吐くいけ好かねぇ顔が。
俺と御幸はテスト対策の課題を御幸の部屋でしている最中だった。
いつ間に寝てたんだ、俺。
「洋一クンはおねむなんですかー?」
いつもならぶん殴っているところだったのだがあの夢を見た後だ。そんな気にもなれない。
すると、そんな俺を見て御幸が眉を寄せて言う。
「何?変な夢でも見たのかよ?寝てる時泣きそうな顔してたぜ?お前。」
「…別に。何もねぇよ。」
俺が目を逸らして言うと御幸もそれ以上は聞かず、ふーん。とまた課題の手を進める。
あのガキまだ泣いてんのかな。そんな事を思いながら俺も寝起きのせいで鈍った脳を働かそうとシャーペンを握る。