Eyes On Me

□その7
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___池田屋

思った通り 事態は動いたか…。

幕府側の人間が踏み込んできたことで 辺りは騒然となる。

…よりにもよって相手は 壬生狼…新選組。例の『はじめ』とやらもいるのか?因縁めいたものすら感じてしまう。

自分の身に危険など感じない。名前のほうは…大丈夫だろうか…。

念の為に不知火を置いてきたから 万一敵襲があっても問題ないだろうが… 不知火に変な気を起こされてはいないか心配だ。

…まったくもって俺らしくない。緊張の糸が張りつめた戦場で 女のことを案ずるなど…。

やはり…名前は特別だ。

2階に騒々しく上がってくる足音。
感傷に浸っている時間は終わりのようだ。


暗闇に浅葱の羽織が翻る。登ってきたのは 一人。

「…お前は『はじめ』か?」

『はじめ』と相まみえたい 斬ってしまいたい一方で 奴を消してしまっては名前が悲しむだろうか と躊躇してしまう。

「…はぁ?何言ってるのさ。一君はここにはいないよ。
でも 君を殺す人の名前くらい教えてあげるよ。僕は沖田総司。」

俺を殺すだと…ふん…酔狂な自信家だな。

だが 『はじめ』でないなら

「ならば…余計なことを考えずやれそうだ…」

所詮はただの人間。俺にかなうわけなどない。
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