Eyes On Me

□その7
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俺としたことが 油断した。

朝早く仕事があるのも、体を起こすのに歩いていたのも嘘ではない。

だが、あの場所に居たのは 名前の寝顔を見てから仕事に行きたかったからだ。

俺の目の前で襖が開いて、寝乱れ姿の名前が出てきたときは 本当に驚いた。

…名前から声を掛けてくれなければ  危うく襲ってしまうところだったろう。

何より、部屋に入る前で良かったと思う。

部屋に入った後 名前とはち合わせていたら…何の言い訳もできぬし、最悪の場合…嫌われていたかもしれない。


……注意深く せねばならぬな。

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千景様に言われたとおり着替えて広間へ向かうと、ちょうど朝餉を運ぶ天霧に会った。

「こんな時間に朝餉の準備なんて 天霧さんも大変ですね。」

何か手伝おうかと声を掛けるが 「あなたに雑用をさせては風間に叱られてしまいます」と断られてしまった。

…その千景様自身はなにかと私をこき使うくせに…

「名前さんこそ、こんな早くから風間に付き合わされて大変でしょう。全く風間は…」

天霧さんはため息をこぼす。

「あ、でも今日は…私が勝手に早く起きただけですから。」

笑って返す。


千景様 天霧さん 私の3人で 普段よりだいぶ早い朝餉をとる。

その場で、千景様に

「ここ数日のうちに、大きな事件がおきるかもしれん。故に俺がいいと言うまで、勝手な外出は許さん」

と言われ、私は不満に思ったが

「京で大きな動きが起こりそうなのです。名前さん、いくら人に慣れたあなたでも 事件に不用意に巻き込まれないため 外出は避けていただきたい。」

天霧さんにまで言われてしまっては、やむを得ない。

大きな動き…一さん 新選組にも関わることなのだろうか

「大きな動き とは?」

思い切って聞いてみる。

普段 政治的なことはあまり私に話してもらえないけど 外出禁止を言い渡すくらいなのだ。何か教えてくれるかもしれない。

「…不知火からの まだ未確定な情報だが、攘夷浪士が京の町を巻き込んで、騒ぎを起こそうという
動きがあるそうだ」

「町を巻き込んでって!?」

無実な人たちも…私が大好きな京の人たちも巻き込んで!?

千景様は

「名前…まだ未確定な情報だ。それに…もしも鬼の俺の目にも余る蛮行であるなら、その時は止めよう」

私を宥めてくれた。

「千景様…くれぐれも お願いします。」

「あぁ」
と小さく返す千景様が頼もしく思えた。

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(人間の町が傷付くことなど、どうでも良いと思っていたが…名前を傷つけてしまうことは 俺には許せん…。)

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