Eyes On Me

□その6
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そしてしばらく笑ったあと

「おっと あんまりお前と話してるとまた風間にどやされちまうな。」

「またなぁ」と言って去って行った。

…なんだか 嵐のような人だったなぁ。

『幼馴染を忘れられず…』かぁ。

千景様に限って そんなことないと思うんだけど……でも…もし万が一そんなことがあるとしたら

私にすっかり忘れられていた千景様は どんな気持ちに…


万が一にも起こり得ないような 勝手な想像なのに、罪悪感で胸が締め付けられる。

そもそも、千景様は鬼の頭領…一時でも里を追放されていた私なんか 嫁の候補にもあがれないはず。
今まで女性を寄せ付けなかったという 千景様が私を傍に置いているのだって…
きっと気まぐれかなにか。

むしろ、『嫁になりえない』からこそ気軽に傍においているのかもしれない。

自分で女としての価値を否定するみたいで悲しいけど、

女として置かれてるわけじゃない…と思う。

でも…千景様と確かに昔一緒に過ごしたんだよね。

…昔のこと もう少し思い出せないかな…
苛められていた記憶だけじゃなくて…他に思い出 なかったのかな…

…歯がゆい なぁ。


○+●+○+●+○+●+○+●+○+●+○+●+○

風間が女を傍に置いている という話を聞いて、どんな女か一目見たくなって長州の使いを引き受けた。

確かに かわいらしい女だと思った。

里の女鬼のように 風間に媚びたりしないところも好感がもてた。


だが 客の不知火をほおっておいて 玄関で名前を待ってたり、『許可なく近づくな』とか威嚇したり 風間はこれほどわかりやすく好意…いや独占欲を示しているのに、名前のほうときたら…

「風間も報われねぇな…。」

(風間の普段の行いが悪いせいかもな。俺も普段の行いには気をつけるか。)

そう心に決め 不知火は今夜泊まるための客間に戻って行った。

。。。続く

【あとがき】
不知火さんは少しロマンチストだったら嬉しいです。
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