Eyes On Me

□その6
2ページ/3ページ

その後 やはりというか なんというか 私の酒の席への同席は許されず、私は部屋に戻れと指示された。

でも…さっきの千景様は鬼気迫っていて ちょっと怖かったから 結果的に不知火さんに助けられた と言って過言でないと思う。

…どうして あんなに千鶴ちゃんのこと気にしてたんだろう…。千鶴ちゃんの苗字…『雪村』『ゆきむら』…なんだろう 私もなんだかもやもやする。

夕餉を取り終わってからも なんだかすっきりしなくて、私は縁側で屋敷の中庭をぼぉっと見ていた。

そこに…

「よぉっ 名前 だっけ」

「不知火さん」

不知火さんが現れ 人懐こい笑みを浮かべ 私の横に腰かける。

初対面だけど とっつきやすい人だなぁ。

…千景様とは対照的。っと思うと少し笑ってしまう

「俺は不知火匡。長州藩に協力してる鬼だ。」

「苗字名前と申します。」

不知火さんによると 今日突然長州の使いの仕事があって 急に千景様を訪ねることになったそうだ。

千景様 その為に今日は早く帰ってきてたのかな? とも思ったが、不知火さんも「今日は風間の帰りが遅いって聞いてたのに すぐに帰ってきたから吃驚したぜ」とのこと。

少し鬼の話や自分の話をした。

「しかし、驚いたぜ。まさかあの風間がこんなかわいい子を囲ってるなんてな」

不知火さんの言葉に動揺する

「か…囲ってるんじゃないですよ!ただ、私が人の生活に慣れているから…」

「…そうか?今まで縁談も断り続けて 特定の女を傍に置かなかった風間が お前を傍に置いてるって かなり気に入られてるんじゃねえの?」

それは…知らなかった。でも

「…幼いころに少し一緒にいたから 女扱いされてないだけですよ。」

「幼馴染ってヤツか。…なぁ、もし『幼馴染を忘れられなくて 他の女を見れない』ってヤツだったら燃えねぇか? あ、でも風間かぁ…ねぇな それは!!」

不知火さんは勝手に想像して豪快に笑った。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ