Eyes On Me

□その2
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はじめての口づけを奪われた。いくら頭領だって…抗議の一つもすべきなのだろうけど 私の頭は混乱して 動かない。

そんな私の耳元に 千景様は唇をよせて話し出す。
息が耳にかかってこそばゆい

「…所用でしばらく俺は京に住まうことになっている。人間に慣れたお前も 共にここに住んでもらう。俺の所有物<もの>として。」

…千景様は…横暴なんだ。そうだ…あのときと変わりない… あの時…???

ざざっと 頭に記憶の断片が映る…

『むのう(無能)め…。遣いの一つもできぬとは』金髪の少年が 冷たく言い放つ。その傍でいじけるように目を伏せる…幼いわたs・・・

「わかったのか?」

低い声が私を現実に呼び戻す。

「えっ…ああ…えぇ。」

反射的に頷き 返事をしてしまう。

千景様が満足そうな顔をしたのに気付き しまった…と思った。

彼の所有物として京に残ることを同意してしまった。

いずれにせよ…『あの』彼が言うことなのだから 断ることなどできないのだろうけど。…『あの』彼?

さっき頭に映った 像も、今の感じも…なんだろう。頭がざわざわする。

「…わかったならば、お前は里ではなく俺たちと一緒に来てもらおう。」

踵を返す彼に慌ててついていく。

そういえば 京にしばらく住むって…

京に…

接吻されたとか 記憶がざわざわしたとか 心騒がせることばかりだったけど…

私、人里<ここ>に残れるの!?住まいは変えても 京にいれるなら…

また 一さんに会えるかもしれない…!

その希望だけで 心がぱっと明るくなる。

ぱっと表情を明るくした私に、千景様が怪訝そうな顔を浮かべたのに 私は気付かなかった。


。。。続く。
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